ブログ

ヨシ(葭)刈り―近江の冬の風物詩―

1月の週末、近江楽座の地域博物館プロジェクト(スチューデント・キュレーターズ)の学生らとともに、近江八幡の西の湖でヨシ(葭)刈りをおこないました。場所は、古文書調査で毎月訪れている西川嘉右衛門商店のヨシ地です。古文書調査に参加してくださっている某博物館の副館長さんや、楽座の卒業生2名も参加してくれました。

 

西川嘉武さんのご説明やご指導を受けながら取組んだのですが、西川さんのお話の中に出てくる地名について、学生たちが「古文書にあった地名だよね。」という会話をしていました。フィールドワークは、古文書上の文字情報を具体的、立体的に理解するために重要なのですが、まさにそうした経験となりました。

 

実際に刈ってみると、ヨシ地にはセイタカアワダチソウなどヨシ以外の植物がかなり生えていることが分かりました。また、ツル植物がヨシに絡みついており、それを取るのに一苦労でした。西川嘉右衛門家は、所蔵する古文書からもわかるようにヨシ商売の歴史が長い家ですが、先人が江戸時代からこのような作業を繰り返してきたのかと思うと、その大変さに頭が下がる思いでした。

 

貴重な機会を与えてくださいました西川さん、どうもありがとうございます。非常に楽しく、得難い経験となりました。(東幸代・市川秀之)

 

【写真1】道具の使い方の説明

 

 

【写真2】刈ったヨシを揃える

 

 

【写真3】刈り取り終了!


地理学ゼミ 2022年度お取り寄せ

地理学ゼミでは、指導教員(塚本)が食べ物の産地の研究をしていることから、「希少または高価でなかなか食べられない名産品について、産地のことをしっかり勉強し、皆でお金を出し合って品物を取り寄せ、実際に食べてみる」という取り組みを毎年おこなっています。コロナ前は調理込みの実食会を開いていましたが、現在は加工品を取り寄せて各自持ち帰るというかたちにしています。ゼミ内コンペで決まったメニューは、メインディッシュが鹿児島県の『かごしま黒豚』、デザートが和歌山県の『有田(ありだ)みかん』です。

 

『かごしま黒豚』は、鹿児島県黒豚生産者協議会に加盟する養豚場が生産した豚、およびその肉のみが名乗ることを許されます(登録商標)。「バークシャー種」で、「肥育後期にさつまいもを10%~20%添加した飼料を60日以上」与えられ、「出荷日齢が(一般的な豚の1.2~1.5倍の)230日〜270日程度」でなければなりません。今回は養豚、食肉処理、加工、販売をすべておこなう会社から、角煮を取り寄せました。実際に食べると? ほろり、とろり。残ったタレは白米に・・・。

 

『有田(ありだ)みかん』は、ご存知のとおり温州みかんのトップブランドです。農家も王様気分かというと実は真逆で、トップだからこそ、その地位を守るため、スマート農業の導入といった技術革新を積極的に進めています。今回は有田みかんが丸ごと入ったゼリーを取り寄せました。水分の90%はみかん果汁です。実際に食べると? 「真夏にみかん」ならコレ! このことは、みかんだけでなく農業地域にとって非常に重要です(=加工の意義)。種明かしは、塚本担当の講義にて・・・。
(塚本礼仁)

 


写真1 黒豚チームの研究発表

 


写真2 有田みかんチームの研究発表

 


写真3 商品お披露目


大雪と地域文化学科

1・2月は大学にとって一年で一番忙しい時です。共通テスト、卒論提出、卒論試問、そして大学院入試と一般選抜入試。こんな時、最も気になるのは雪です。昨年は年末の災害レベルの大雪で、彦根市内は大変なことになってしまいました。共通テストや卒論提出日にあんな雪が降ったら、と思うと思わず背筋が冷えます。

 

そんな心配をくれる雪ですが、ふと人間文化学部棟の中庭に目をやると、黄色い歓声とともに、学生たちが雪遊びをしている姿が目に映りました。小さな子供のように、うんうん言いながら雪玉を転がし、耳をつけてウサギさん雪だるまを作っている風景に、先ほどまでの心配が溶解し、知らず笑みがこぼれました。

 

よく見るとわが学科の学生も雪遊びをしています。

?!五輪塔※1??石積み??移動式かまど※2??

思わずわが目を疑いました。まるで賽の河原ではないですか。奪衣婆※3でも走り出してきて、身ぐるみ剝がれそうです。

しかしよく見ると、これがなかなかの出来なんです。五輪塔などはこのまま石にしたら文化財にしてしまいそうです。こうした遊びの端々に日頃の関心が表出するのがわが学科の良いところなのだろう、と一人納得した一日でした。

 

※1 五輪塔(ごりんとう)。石でできた仏塔。中世には死者供養のためにたくさん建てられた。

※2 かまど。作り付けのカマドではなく土で作った移動式かまどは、古墳時代に日本に伝えられ、祭祀用のものとして使われた。

※3 奪衣婆(だつえばあ)。三途の川で待ち受ける老女の鬼。亡者の着物を剝いでその重さで罪の重さをはかる。