愛知県豊橋市・吉田城跡の石垣カルテ作成
中井研究室は愛知県豊橋市より吉田城跡の石垣カルテ作成について委託を受けて、9月22日から25日の4日間現地調査を実施しました。
石垣カルテとは現存する石垣1面ずつの調書を取るものです。石垣は築城以来400年以上経過したものもあり、石材の割れ、孕み、樹木の繁茂などによって崩落する可能性も充分に考えられます。そこでそうした現状を記録し、今後の修理に役立てようとする重要なものです。今回は学生たちと石垣の石材を一石ずつ実際に見ながら記録してゆく調査を実施しました。考古学を専攻する3回生を中心に、2回生、1回生からの参加もありました。中井研究室では毎夏、岐阜県可児市の国史跡金山城跡の発掘調査を合宿しながらおこなってきたのですが、今年はコロナ禍の影響で中止としました。吉田城跡の石垣カルテ作成にあたっては感染予防のため、宿泊せずに毎日公共交通機関を利用し、調査中はマスクを着用して実施しました。発掘調査が中止となっただけに、今回のカルテ作成では野外調査ができて、参加した学生たちはよろこんでいました。
吉田城は天正18年(1590)に池田照(輝)政によって築かれましたが、石垣についてはその後江戸時代を通じて地震や大雨などによって崩落し、現存するものは築き直されたものが大半だと考えられていましたが、今回の調査で照政時代の石垣が数面確認することができたことも大きな成果となりました。
現地調査では豊橋市教育委員会埋蔵文化財センターの中川永さんが常に同行して、学生に調査方法を指導してくださいました。ちなみに中川さんは地域文化学科卒業の先輩です。(中井 均)