日本中世史ゼミ・近世史ゼミ学外実習

 日本中世史ゼミ・近世史ゼミの合同で、一泊二日の学外実習を実施しました。今回は北摂方面に行ってきました。
 1日目は、多田神社(兵庫県川西市)、茨木市立キリシタン遺物史料館(大阪府茨木市)、今西氏屋敷(大阪府豊中市)を訪れました。
 多田神社は“源氏の祖”ともされる武士、源満仲を祀った神社です。源氏ゆかりの神社として鎌倉・室町・江戸の三幕府からの崇敬も厚く、中世・近世を通じて勝尾寺と並ぶこの地域の宗教的な核となっていました。
 茨木市の山間部はいわゆる“隠れキリシタン”が存在したことで知られる地域で、日本史の教科書にも必ず載っているフランシスコ・ザビエル像もここで発見されました。茨木市立キリシタン遺物史料館では、そうした地域の信仰のあり方をうかがえる様々な展示を見学することができました。
 今西氏屋敷は中世荘園の現地管理役人である荘官(しょうかん)の屋敷です。少々マニアックかもしれませんが、中世以来、大きな変容もなく現代まで存続しているという全国的にも珍しい史跡です。現在の豊中市域には、中世を通じてこの地域に存在した「垂水牧(たるみのまき)」という藤原摂関家の広大な所領があり、屋敷の主である今西氏は垂水牧の現地管理を任されていました。
 2日目は、午前中に高槻市立しろあと歴史館にて特別展「戦国動乱の畿内―足利将軍家と細川京兆家の分裂―」を見学し、午後は芥川城(高槻市)に上りました。
 戦国時代の北摂地域は、守護大名細川氏、次いでその家中から台頭してきた戦国大名三好氏の領国でした。高槻市立しろあと歴史館の特別展では、三好氏の台頭へと至る畿内の戦国時代の展開を、豊富な古文書を通じて学ぶことができました。
 芥川城は三好氏が本拠とした城です。土塁と堀を中心とする中世的な山城ですが、大手の正面には巨石を用いた石垣が築かれ、本丸にあたる郭(くるわ)には城下から見えるように御殿や蔵が配置されるなど、近世のお城へとつながる“見せるお城”としての性格が先駆的に見られる点が印象的でした。
 芥川城のご案内をお引き受けくださった本学OB の早川圭さん(高槻市文化財課)をはじめ、多くのみなさまにご協力いただくことで、今回の学外実習も実りあるものとすることができました。改めて御礼申し上げます。(高木純一)
                                                                       

【写真1】今西氏屋敷

【写真2】高槻市立しろあと歴史館

【写真3】芥川城

【写真4】芥川城からの眺望