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大垣市郷土館所蔵朝鮮軕資料の調査

交流系プレゼミの学生と民俗学が御専門の市川秀之先生とともに、大垣市郷土館が所蔵する朝鮮軕(やま)関係資料を調査させていただきました。

 

朝鮮通信使が滋賀県を通過したことは県内では知られていますが、彦根を発った通信使が次に宿泊するのは大垣でした。華やかな異国の使節の行列は大垣の人々の関心も集め、江戸時代から行われている大垣祭では竹島町が朝鮮通信使行列を模した練り物を行っていました。明治になってから廃止されたこの軕の関係品は、現在大垣市郷土館に寄託されています。

 

今回は関連資料を計測・撮影させていただきました。学生にとってはこのような調査は初めてで、貴重な経験となりました。朝鮮通信使関連の展覧会などで紹介されよく知られている本資料ですが、現物や残された絵画資料を見、通信使の行列に対する当時の人々の関心の高さを改めて実感できました。貴重な調査の機会をくださりました大垣市郷土館早野館長に御礼申し上げます。
調査後には全昌寺(通信使三使の宿泊場所)や大垣宿本陣、朝鮮軕を出していた竹島町をめぐりました。(木村)

 

(写真1)朝鮮山車関係資料を計測

(写真2)竹島町榊軕軕蔵。朝鮮軕が廃止されたのち、榊軕となった。


岐阜県可児市美濃金山城跡の発掘調査

ここ数年、新型コロナのためずっと延期されていた岐阜県可児市での美濃金山城跡発掘調査を、この夏休みようやく実施できました。今回の調査では、お城の天守台にかつて存在していた天守や本丸御殿といった各建物と、天守台の入り口の部分(虎口)とがどのように接続していたのか、そこに門があったのかなかったのか、といったことなどを確認する発掘をおこないました。

 

実際の調査に際しては、可児市文化財課との連携のもと、滋賀県立大学考古学ゼミの学生たちが主体となり、「知りたい情報を得るためには、どのような手順で掘っていかないといけないか」を自分たちで考えながら、作業を進めました。発掘調査は一度進めてしまうと、もう元通りには戻せない「一度きりの実験」だといわれます。慎重かつ大胆に、常に思考を止めず緊張感をもって掘削と記録にあたりました。

 

貴重な学習の機会をいただいた可児市のみなさまに感謝申し上げます。(文責:金宇大)

 

主郭調査区での遺構検出

 

発掘調査の現地説明会の様子

 


環琵琶湖文化論実習へ行ってきました!(1班)

本学1回生恒例の環琵琶湖文化論実習を8月9・10・23日に行いました。コロナに天候不順、いろいろと心配事ばかりでしたが、1回生諸君のやる気に背中を押され、なんとか開催することができました。

 

私と亀井先生が率いる第1班は、「物質文化から近江の魅力を発信する」をテーマに、主に大津市周辺の湖南地域をめぐりました。滋賀県文化財保護協会では、同協会の研究員さんによる展示解説と同時に、同協会の展示解説アルバイトを経験した学生の解説もあり、堂々たる説明姿勢に感心するとともに、ご指導いただいた同協会に感謝でいっぱいでした。

 

また、野洲市にある圓光寺では、鎌倉時代の見事な和様建築の内部まで拝観させていただき、その優美な建築美を堪能したほか、大津市歴史博物館では学芸員さんから、仏像の調査・修理、そして発見の面白さをじっくりお聞かせいただきました。実物の持つ力を心に刻む実習となり、ご協力いただいた皆様に深くお礼を申しあげたいと思います。

 

さて、後期は学んだ成果を、「魅力」としてどうアピールするかを、みんなと一緒に考えていきたいと思います。(文責:佐藤亜聖)

大津市和邇泊推定地付近の踏査風景

 

野洲市市三宅東遺跡発掘調査現場見学風景