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タナ・トラジャでの実習

泊まったトンコナンの前で 葬儀の参列葬儀を見る学生たち

文化人類学ゼミでは、2019年12月22-31日にかけて、インドネシア・スラウェシ島のタナ・トラジャに実習に行ってきました。トラジャは、牛のツノのような形をした屋根を持つ伝統的家屋や、盛大な葬儀が行われることで有名です。私たちは歩いて村々を回り、建築儀礼の豚の供儀や葬儀に遭遇しました。そうした儀礼は、新築を祝う/死者を弔う以外に、関係者が富の蕩尽を行う、人々にとって最大の喜びであるかに見えました。一説には、東南アジアの基層文化の特徴でもあり、キリスト教化されたことによる影響でもあるそうです。途中、伝統的家屋トンコナンに泊まらせてもらい、雨水で水浴びをし、寒さにふるえながら夜を明かしました。参加学生の中には、海外旅行が初めての学生もいましたが、あらゆることを楽しんで乗り越えてくれました。今後は普通の旅はできなくなることでしょう。(横田)


チベットの謎の石塔「カル」

中路郷のカル カルを目指して崩れかけのカル

昨年の10月29日から11月4日まで、学生たちと一緒に中国四川省のカンゼ・チベット族自治州へフィールドワークに赴き、現地の集落やその周辺に点在する「カル」とよばれる石塔を見て回ってきました。「碉楼」や「石碉」などとも呼ばれるカルは、おおむね12世紀代から17世紀頃にかけてつくられたとされています。私たちが今回拠点にした丹巴県周辺だけでも550を超えるカルが現存していますが、その性格や用途については、はっきりわかっていません。まさに「謎の遺跡」です。

カルは、民家に隣接するものもあれば、山の中腹にポツンと存在するものもあります。標高3000m近い山奥で、藪をかき分けてカルを目指す道のりは、過酷そのものです。しかし、息を切らしてたどり着いた先で、崩れかけながらも厳然とたたずむカルを目にしたとき、私たちは息をのみました。悠久の時を見守ってきたカル。「なぜこんなところに、こんなものがつくられたのだろうか…」静かな興奮に、私たちは震えました。(金宇大)

 


美術史ゼミで学外実習に行ってきました

11月19日から21日まで2泊3日で恵那、松本方面に学外実習に行きました。恵那の中山道広重美術館では、明治期に新しく創作された「新版画展」を見ました。伊東深水の描いた「近江八景」のうち「粟津」「唐崎」などが歌川広重の近江八景の絵と並べて展示されており、それぞれの特質を知ることができました。松本では、開智学校や松本城、丸山太郎が民芸運動に心酔し収集した作品を展示する松本民芸館などを見学。またそこから足を伸ばし、戦没画学生の描いた作品を展示する無言館、安曇野ちひろ美術館、碌山美術館も訪問しました。その土地にその美術館があることの意味を考えながら、たっぷりと美術品に触れることのできた3日間となりました。(亀井若菜)