台湾実習の報告

 かなり前のことになりますが、2024年9月、横田ゼミ(文化人類学)の学生7名とともに台湾にて実習を行いました。今回のテーマは、日本の植民地統治時代の遺構がどのように復元されているかを見ることと、台湾のジェンダー平等の推進状況、並びに人権侵害に関する移行期正義(*注)について理解することです。
 訪問先の1つとして、桃園市に残る桃園忠烈祠及び神社文化園区を紹介します。ここは、中華民国が経験してきた戦争で犠牲になった軍人の英霊を祀る施設ですが、元神社の本殿・拝殿をそのまま使っています。取り壊しの計画があったものの、地元建築士の強い勧めで残されました。近年、台湾にいながら日本を感じられる場所として、観光地化されています。元鳥居より外の地区については、民間業者に委託運営しているということで、日本でいう手作りマルシェのような商店がたちならなんでいました。一見、友好的に見える活用ですが、植民地統治による甚大な被害とそれについての人々の思い、そして日本文化の消費を混同することなく、受け止めてほしいと願っています。(横田)

*注:長年にわたる紛争や抑圧の中で発生した人権侵害の規模が大きすぎるため、通常の司法では対処しきれない場合に国家が行う取組みのこと。

 

写真1 桃園神社の元鳥居

 

 

写真2 桃園神社の手水舎

 

 

写真3 御朱印