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【研究分野紹介】日本考古学

金山城調査2金山城調査風景1金山城調査合宿風景1

考古学は人類の作ったモノ、例えば土器や石器から歴史を研究します。また、その方法は時代を限るものではなく、いつの時代にも適用することができます。研究の方法としては分布調査と発掘調査があります。滋賀県立大学では考古学の概論などが学べるとともに、測量や実測などの実習も学ぶことができます。また、夏休みを利用して岐阜県可児市で国史跡金山城跡の発掘調査を実施しています。さらにここ数年は中国四川省のカンゼ・チベット族自治州へも学生たちと調査旅行に出掛けています。卒業後には自治体に配置されている文化財専門職員や博物館学芸員といった考古学を活かした職業に就くこともできます。多くの県大の先輩たちもこうした職業に就いています。(中井 均)


【研究分野紹介】日本近世史

東幸代先生古文書 学生と古文書調査をしています

こんにちは。日本近世史を専門とする東幸代です。江戸時代とはどのような時代か、人々がどのように生きたか、などを古文書(こもんじょ)の読解を通じて明らかにしています。特に現在は、琵琶湖の支配をめぐる彦根藩や江戸幕府の動向や、琵琶湖を生活の場にしていた民衆の生活など、琵琶湖を研究の中心に据えています。琵琶湖にかかわる近世史は、まだまだ未解明の点が多く、模索しながら研究を進めています。琵琶湖にかかわらず、滋賀県内の古文書調査には力を入れており、しばしば学生たちとともに現地調査におもむいています。古文書は、読めるようになるまで訓練が必要ですが、読めるようになったら面白くて仕方がなくなると思いますよ。(東幸代)

【写真1】近影
【写真2】こういう古文書を読んでいます
【写真3】学生と古文書調査をしています


【研究分野紹介】日本中世史

南方熊楠の顕彰碑(和歌山県)大分県の田染荘信長朱印状 のコピー

講師の高木純一です。わたしの専門は日本史とりわけ中世史です。

ごく大雑把に言うと、鎌倉幕府、室町幕府、そして戦国大名たちの時代を、日本史では「中世」に区分しています。

有名な織田信長は、「天下布武」の印判を使用したことでよく知られています。高校の日本史教科書では、「天下を武力によって治める意志を明らかにした」ものと説明されています。

なんとも勇ましい、信長らしいはなしです。しかし、最新の研究によると、ここで言う「天下」とは、いわゆる“日本全土”を指すのではなく、「畿内」と呼ばれていた地域、現在の京都・大阪・奈良あたりだけを指していたらしいことが明らかにされています。

なんだか、急にこぢんまりとした感じがしてきますね。これが正しいとすれば、織田信長という人物の評価についても、見直してみる必要が出てくるでしょう。

歴史学の面白さ、なんとなく伝わりましたでしょうか。教科書に書いてあることは不変不動の「事実」ではなく、研究の進展によって、これからまだまだ書き換えられていくものなのです。

大学で歴史学を学ぶことによって、みなさんは、この「天下布武」の例のような“定説を覆す”ちからを身につけることができます。少なくとも、教科書に書いてあることを鵜呑みにせず、検証するという姿勢が身についているはずです。

真偽不明の情報が日々大量に飛び交うこの現代社会、こうした“歴史学的な能力”は必要不可欠のものだとわたしは思います。

なるべく多くのみなさんが、歴史学の世界に入門してくださることを期待しています。

*写真のキャプション

(1枚目)敬愛する南方熊楠の顕彰碑(和歌山県)で記念撮影

(2枚目)中世の面影をよく残す、大分県の田染荘(たしぶのしょう)の村落景観

(3枚目)織田信長の「天下布武」の朱印状(東寺百合文書WEBより転載)