宮世話

村の神社に奉仕する男子の集団を「宮世話」と呼ぶのは、滋賀県の湖東地域に見られる習慣のようですが、みなさんの地元ではいかがでしょうか? 都会の方には聞きなれないかもしれませんが、愛荘町には約500年前の戦国時代に由来する村々に宮世話が残されているようです。中村さんが語ってくださっている東出集落の場合、12歳から33歳までの男子全員が入会。年頭に厳粛な入会と昇級の儀式が行われるそうです。

かしら、したえ、まえがみ等の階級があり、したえ以上のものは部落総出の場合、一人前の男子として取り扱われ、また他所から養子等に来た人も、必ず入会することになっております。

神社の祭礼等に際し、奉仕することが会の主な目的でありますが、字内青少年の健全な育成と、あわせて字内の秩序を維持する役割も兼ねております。また反面、神社に奉仕するものは「かくあるべき」だということを教えたものではないかと考えられます。したがって私ども子どもの頃まではかなり厳しい掟があり、一人前の男子として恥ずかしくない行動を強制されました。

軽野神社の氏子は現在、秦荘町の十ケ字と甲良町の二ケ字でありますが、秦荘町の九ケ字を郷内といい、戦前まで宮世話なる名称は郷内で東出以外使用できなかったようですし、また軽野神社に関し、東出は宮もとと称し、その発言力は非常に強かったように記憶しております。


アーカイヴズNo. 165A
番組名:ふるさと談話室「宮世話について」
語り手:中村俊二さん(東出)
放送日:1980年9月6日