「声の玉手箱」について

「愛荘町有線放送アーカイヴズ」は、数十年にわたる滋賀県愛荘町の有線放送番組の記録です。そこに含まれる音源はたいへんな量で、その全貌をつかむのは容易なことではありません。その一方で、それぞれの番組には、語り手の生きた時代、生活が生々しく記録されており、その一つ一つに時間をかけて聞き入ることがとても重要です。

このたび、愛荘町との協力のもと、細馬宏通研究室(滋賀県立大学人間文化学部)では、「愛荘町有線放送アーカイヴズ」に含まれる音源を少しずつ書き起こし、吹き込まれた貴重な声とその時代背景の一端を、このサイトで広く明らかにすることにしました。それがこのサイト「声の玉手箱:愛荘町有線放送アーカイヴズから」です。

語りをテキストにすることで、内容に簡単にたどりつくことができ、しかも実際の声をきく機会にもしていただけるのではないかという目論みです。アーカイヴズの膨大さからすれば遅々たる歩みですが、お聞きになれば、ひとつひとつが実に豊かな内容であることがおわかりいただけると思います。これから少しずつ、100以上の語りを紹介していく予定です。

ほんの数分の語りや唄のなかにも、現代のわたしたちをはっとさせるような声の抑揚があり、語りを支えている時代背景があります。このサイトでそれを少しでも伝えることができれば幸いです。

(文責:細馬宏通 2018.3.10)