無代かき田植え

(1分36秒)

——ゴールデンウィーク中は、町内ほとんどの田んぼで田植えが行われました。そんななか蚊野の今村儀兵衞さんの田んぼでは無代かき田植えの実験が行われました。無代かき田植えは普及所員の指導のもとで行われたもので、代かきをしないで田植えをすれば泥水も落ちず、濁水防止につながるのではと、去年からはじめられたものです。43アールの田んぼを、時間をかけ、慎重に植えていきます。無代かき田植えについて、普及所の須藤さんです。

「作業の体系を、ちょっと変えるということで、普通でしたら、あの、水いれたあとにいっぺん、こうロータリーで回すでしょ、こう。機械、トラクター乗ってやりますね。ほれを、水をいれないで回るんですわ。で、水いれるの、きれいな水をいれてほんで、練りませんのでね。こういう泥汁は出ないんですわ。あと田植えするときに、ちょっと泥汁が出るだけで」

——また、田んぼ提供者の今村儀兵衞さんは、去年を振り返って

「気ぃつかう、ほら。苗が浮くといかんやろ」

——去年の出来ばえていうのは?

「ほらもう万作に近かったな。普通の田植えと変われへん。そない変わらなんだ。去年も相当米あったでな。ほで、どもないで。で、一番心配するのは、水ひきやけどな。ゆうべから加減してんのに、ぜんぜんゆうべ一晩ひいてないでな。ひかなんだらこのままの状態やけどな。のんでごらんになって土がいごいてないでしょ。高びくが多いけどな。ほらこれやったら活着もええのやろかな。サクサクのとこ植えてんねやな」

——泥水を落とさない無代かき方法ですが、大変な面もあります。

「土をなるだけ乾かして、一気に細かくしてもらわんとあかんのでね、ちょっと天候に左右されるんですわ。ほんで、普通でしたら雨のときでも別に代かきなんかできるんですけど、天気のいいときにやらんといかんので、お天気さん都合ちゅうことで、なかなか作業したいときにできない場合もあるんで、こういう濁水を作らないという試みということで、去年はじめてあそこでやらさしてもらって、そこそこよかったんで、今年甲良と秦荘と湖東町でやってるということです」

——琵琶湖の水を汚さないためにも無代かき田植えは、これから広まっていきそうです。


アーカイヴズNo. 429
番組名:町のアンテナ
語り:蚊野/今村儀兵衞さん他
放送日:平成3年5月9日