黒田末壽/黒田末寿(くろだすえひさ)の紹介
(Brief English introducing)

京都大学理学部動物学教室で自然人類学を学び助手・助教授を経て、1994年から滋賀県立大学人間文化学部の地域文化学科教授。理学博士。

◆専門分野

地域文化学:滋賀県の近代農山村文化を学びつつその意味を考えています。

進化社会学:ヒトを含む霊長類の社会・生態から人類社会の出現過程を中心にその歴史を考えています。

研究の背景:滋賀県立大学に着任するまでは、京大の自然人類学研究室で人類進化学と人類学一般を学び、人類社会の出現過程の復元を自分の専門にしてその資料を得るために、アフリカの類人猿、ボノボ(ピグミーチンパンジー)、チンパンジー、ゴリラを調査してきました。の調査は、見知らぬ村に独りで住むことから始まったので、まず村人に受け入れてもらうために、あらゆることで村人のものの考え方や振る舞い方を学び、問い、意味を考え、尊重することが第一優先事項でした。他方では、村人と、野生動物の過度の狩猟を制限することや生活改善の方法を討議し試行することも課題でした。

滋賀県立大に来てから取り組んでいる地域文化学は、上の経験と農家生まれでまた山歩きが好きだったということが影響しています。かつては日本人の大多数が農民でしたから、美しい風土を生み出してきたのは農民ということになります。農法もすばらしく発展させ優れた品種を作ってきたし、個々人をとっても、家や石垣の修理も含めてたいがいのことは自力でやる力をもっていました。しかし、今日まで、農民とその文化が尊敬され大事にされてきたことが果たしてあったのかと問うと、否定的な答えしかでてこないでしょう。どうして日本では農民文化を卑下してきたのでしょう?農山村文化とは一体何だったのか、何なのかと、自問しつつ、調査しています。といっても、私は、地域文化学は、地域社会への参与を伴わなければ意味がないと考えているので、焼畑の再現や牛耕復活、鹿の食べ方の研究、農鍛冶修行などの活動に参加することが主になっています。生活者として研究すること、これが私のモットーです。

[生態参与観察のススメ][『人と地域』] [エコ・キャンパス・プロジェクト] [地域文化学科][人類学会人類進化学分科会]

火野山ネット

 

◆学部担当科目
人間と自然界(人間は自然とどう関わってきたか、その営為をどう認識してきたかについて
いくつかの文化を例に紹介する講義。2007年度は日本の霊長類学を題材にしてこの課題に取り組む。)
人間文化論A(人間の身体の進化史と社会性についての講義。身体の動きの同調とコミュニケーション
の関係、かわいさとかっこよさ=ネオテニーと過成長のデザイン等。)
比較文化論A(生態人類学の観点から主としてアフリカの諸社会形態を紹介し、同時に現代社会解釈にとって
重要な人類学用語を解説)
★地域文化研究法(上田洋平さんとの共同講義。上田さんは、字単位で人々がもつ地域イメージを地域が共同で具現化する方法(=心象図法による地域絵屏風を考案し、それによって、数多くの地域社会の活性化に貢献している、若い地域文化学実践者。)

★地域文化論演習I・II・III(ゼミ)など

大学院担当科目
地域展開論AB・演習・考究(地域文化学科)

◆主な著作

★『アフリカを歩く:フィールドノートの余白に』(共編著)2002以文社。
『ピグミーチンパンジー:未知の類人猿』1982筑摩書房(1982年度読売文学賞受賞)。第3版『新版ピグミーチンパンジー:未知の類人猿』1999以文社。
『人類進化再考:社会生成の考古学』1999以文社。
★『自然学の未来:自然との共感』2002弘文堂。
★『科学的方法とは何か』(共著)1987中央公論社。
★『人類の起源と進化』(共著)1987有斐閣。(絶版)

◆主な研究経歴
★滋賀県の農山村文化の研究(1994〜

人類社会形成・食物分配の進化の研究(1974- )
観察論(生態的参与観察)・Empathyの研究(1972- )

ピグミーチンパンジー(ボノボ)の社会・生態の研究---コンゴ民主共和国(1974-1987, 2006-)
★ゴリラとチンパンジーの種間関係の研究---コンゴ共和国、ガボン共和国(1987-1999)
★ニホンザル地域集団の形態変異の研究(1982-2001)

◆自然保護・保護区設立貢献
★コンゴ共和国ヌアバレ・ドキ(Nouabale-Ndoki)国立公園設立(コンゴ森林省、ドキ調査グループ、WCS(Wildlife Conservation Society)と)
★コンゴ民主共和国ルオ(Luo)地区学術特別保護区(ワンバ調査隊(加納隆至隊長)、ザイール科学研究センターと)<ボノボ/ピグミーチンパンジーの保護>のページへ

★☆屋久島西部林道地区・瀬切川上流右岸の保護区化(屋久島の自然を守る会・屋久島研究グループと)

<屋久島の写真>(1)雨の千尋の滝(せんぴろのたき)(2)岩の上で成長する樹・永田岳・瀬切川・花之江川

◆地域活動など

★今津町椋川の牛耕復活と椋川pdpりの復活など ★障害児・者支援サークル・ハーモニー顧問 ★高島市のエコツアープランニング
★湖東の森の再生支援 ★焼畑による伝統野菜栽培支援 ★滋賀県立大学エコキャンパスプロジェクト顧問 ★日野町鎌掛の森つくり 
★農鍛冶修行 etc.....