興味のある分野を 組み合わせて学べます

2020年9月7日

マーケティングリサーチ演習「〇〇の魅力を発見する調査をしなさい」

「マーケティングリサーチ演習(2回生前期)」の紹介です。

先日、全日程を終えたマーケティングリサーチ演習ですが、今学期のテーマは「〇〇の魅力を発見する調査をしなさい」でした。

受講生は、1)身の回りの商品や製品の魅力をリサーチし、2)調査成果を活かした広告を制作しました。

どんな授業だったのでしょうか。担当教員の山田先生に作品をいくつかピックアップしてもらいました。

 

 

「日傘で姿勢美人」(2回生:武内佳音)

ひとつめはこちら。「日傘をさしたくなる調査」です。

調査地は大学バス停前。調査対象は、バスから降りて大学にむかっていく人たち。

日傘をさしている人(30名)と、さしていない人(30名)の姿勢を真横から撮影し、背筋の伸び方や目線の角度を比較しました。

調査結果はこちらです(報告書の一部を抜粋)。

日傘をさしているときのほうが、背筋がのび、目線もあがっていますね。

傘をささずに歩いている人はスマホをのぞき込んだり、(猛暑日だったので)直射日光に思わず身をかがめてしまったりしていたようです。

「日傘にはこんな効果があるんだ」という新しい気づきを与えてくれます。

調査結果から、「日傘で姿勢美人」という広告が作成されました。それがこちら。

「姿勢が綺麗になる、という日傘の新しい魅力に気づかせてくれる調査。キャッチコピーもいいですね。

ルノワールのモデルさんの姿勢が美しいのはパラソルのおかげだったのかもしれません(笑)。」と山田先生からコメントをもらいました。

 

 

「一粒で、ふたりの距離は、縮まる」(2回生:木村香菜子)

ふたつめは「ミンティア」の魅力を探る調査です。調査参加者はペアを組んだ相手に「ミンティア」、「カントリーマアム」、「ガム」のそれぞれを手渡し。その様子が撮影されました。

調査の様子をまとめたものがこちら(報告書の一部を抜粋)。

ミンティアのときに二人の距離が一番縮まっています。

確かに、ミンティアのようなタブレット菓子をあげたりもらったりするとき、タブレットが落っこちてしまわないように、お互いの距離が近づきますよね。

この調査結果を活かして「一粒で、ふたりの距離は、縮まる。」という広告が制作されました。それがこちらです。

 

「素敵なキャッチコピーです。本当はマスクなしでの調査にしたかったところですが、コロナ禍の今は仕方がないですね。

ミンティアの、大事な人との距離を縮めるアイテムとしての魅力に気づかせてくれる切れ味の鋭い調査と広告になっています。」と山田先生。

 

 

「洗ったつもり、になっていませんか?」(2回生:藤井夏希)

3つめは「固形石鹸を使いたくなる調査」。「固形石鹸」と「泡タイプのハンドソープ」での手洗い時間を比べたところ、固形石鹸のほうが手洗い時間が長いという調査結果が得られました。この調査結果をもとに作られた広告がこちらです。

「固形石鹸にするだけで時間をかけるようになるというのは、確かに習慣形成に効果がありそうだなと思いました。

そういえば、小学校の頃、給食の前にクラスメイトのみんなと固形石鹸で手を洗っていたのを思い出しました。

なかなか泡立たないから、手洗いにかかる時間も長くなって、クラスメイトとの会話も増えるんですよね。

固形石鹸の魅力をそんな生徒同士のコミュニケーションとつなげても面白くなったかもしれませんね。」と山田先生。

 

 

「君の笑顔が見たいから、僕はLサイズを頼むんだ」(2回生:田村美有)

最後の作品。「Lサイズのピザを注文したくなる調査」です。

Mサイズのピザを食べるときと比べて、Lサイズのピザを食べるとき、人はピザを上方に持ち上げるので、顔も上にあがりやすくなることを調査によって確かめました。

それならば、気になるあの子の笑顔を見るためには、Mサイズより、Lサイズを頼んだほうがいい、ということになります。

そんな発想で作られたのがこちらのポスターです。

「Lサイズのピザにこんな効果があるなんて考えたことがありませんでした。今度から注文するときはLサイズにします。」と山田先生。

コロナ禍で調査条件などが制限される中、受講生の工夫がひかり、例年以上の作品が出そろう「マーケティングリサーチ演習」になりました。

グラフィックのことだけ勉強していても良い広告はなかなか作れません。商品の新たな魅力を発見したり、その魅力を他の人に共感されるコピーとして表現したりする力が必要です。マーケティングリサーチ演習は観察力や発想力を鍛える場を提供しています。

 

 

[]

2020年9月2日

道具デザイン演習1 佐藤延弘 時を感じる

時を感じる
『ヒトとモノとをつなげる魅力的な感覚』

道具演習1の佐藤先生の最終講評会が行われました。

今回は、特定の用途を持たないもので心が動くものをバリエーション含め15個作るという課題。

商品としての完成度というよりは、その一歩手前でよい作品でありながら量産可能であるもの。

自分自身の感覚と向き合い、発見し、実験し、形にしなければならない課題でした。

見たことがあるものになってしまってはダメだし、かといって今までにないものを作ることも困難で、

限られた時間の中で魅力と感じたものを、自分なりに形にしてゆかなければならない困難さと格闘したことでしょう。

ろうそくを溶かして重ねた物体。使えないけど美しい。

ストローの組み合わせ、構成で作られたもの。

絵を描く際に使用したパレットを作品化したもの。

紙にしみ込むインクによるグラデーションの美しさを表現。

エポキシ樹脂のかたまりを空の色、月の色に見立てたもの。

モルタルの様々な表情に注目した作品。

コーヒーミルクポーションの形を転写したカラフルなもの。

もんじゃ焼きの土手から流れ出ることに着目したもの。

プラ板の自然な曲がり方に着目した作品。

机一枚につき一人の作品を並べてのプレゼンテーション。

簡易で優れたパッケージの中には木の棒にマーブリング。構成力が高い。

紙をちぎって固めたもの。ラムネのような色合いが素敵。

 

身の回りの何気なくも、豊かな発見から多くの作品が生み出されていました。

優秀作品には、佐藤先生より賞が送られました。選ばれたのは、水口久海さんと中谷華世さんです。

水口久海さんのシンプルなエポキシのカタマリは、用途もないけど、なぜか欲しくなる物体としての強さ、美しさが抜けていました。
 
もう一つ、中谷華世さんのもんじゃ焼きの土手がうまく作れないことに発想を得た作品は、様々な素材で土手を作り、そのU字型の枠に硬化する液体を流し込んだもの。着眼点とストーリーの組み合わせで高いオリジナリティを持っていました。
いつも素晴らしい景品をありがとうございます。
[]

2020年8月31日

道具デザイン演習3 子供椅子

今期の道具デザイン演習3は、3年生の授業でそのほとんどが遠隔授業となりましたが、木製の子供椅子が課題でした。

大学にも来れない中、機械も使えない中、各自でホームセンターを使ったり、工夫して制作しました。

従来からですが、本学は総合大学であり芸術大学のように工房も充実していないので、地域の木工所や銘木屋さんに頼ったり、

様々な地域との関わりの中で学生が課題や卒業制作を行っています。

全て大学の中で完結してしまわない事が、大学の枠と学生の活動の枠を地域に広げており、滋賀県立大学の特徴とも言えます。

みんな、家具製作も初めてで、合板と無垢材の違いもわからないような状態から、実際に椅子を作り上げる事の困難さを学んだことでしょう。

そして、また10月に彦根市内のギャラリーで展示を予定しています。

以下に、履修者全員の作品をご紹介します。

[]