2025年度 前期課程2年

井上 泰良

専門分野

日本近世史

研究テーマ

近世漁村史・中間層論

井上 泰良

研究概要

日本近世史のなかでも、若狭湾沿岸の村落をフィールドに漁村史とよばれる分野を研究しています。江戸時代の村落史は農業を生業の中心とする農村をおもに描いてきたため、漁村も農村の延長線上で捉えられてきました。しかし実際には漁村や山村などは、主要な生業が他の村落と異なるところもあり、適切にそれらの村を捉える必要があります。方法として村の有力者層の動向を中近世にかけて観察することで、彼らの役割と漁村の社会構造の変遷に迫っています。

大学院で学ぶまでの軌跡

高校時代から歴史を学びたい気持ちがあり、大学は京都府立大学文学部歴史学科に進学しました。当時趣味でやっていた先祖調査では、調査の過程で先祖のなかに漁村出身の方が多いことが判明し、かれらの生活が知りたい気持ちが芽生えてきました。そのようななか3回生から配属されるゼミでは京都府北部の舞鶴地方の調査をする機会が多く、参加するうちに卒論で読み込むことになる文書群に出会うことができました。卒論を作成する中でこのまま漁村の研究をもう少ししたい気持ちに次第になっていき、大学院への進学を考え始め、現指導教員であり、丹後地方をフィールドとして漁政・漁村史を研究されている東幸代先生のいる滋賀県立大学大学院を受験しようと決めました。

入学以前はまわりには文献史学を専攻している人が多数でしたが、入学後は同じ部屋のなかで民俗学、考古学、社会学などさまざまな分野の人たちに囲まれ、昼は互いに議論を交わし、夜は杯を重ねるなど刺激的な毎日を過ごしています。

修了後の希望進路

修了後は博士後期課程への進学を計画しており、研究機関あるいは博物館で職を得て、研究の継続と文化財の後世への保全継承を目指しています。現在は修士論文の作成および院試にむけて勉強中です。

今まで関わった研究・調査プロジェクト

・日本常民文化研究所所蔵の筆写稿本・古文書・絵図を用いた若狭湾沿岸海村とその周辺村落の生業をめぐる軋轢・交流・交易に関する研究(日本常民文化研究所)
・近江八幡市西川嘉右衛門家文書調査
・近江八幡市馬場家文書調査
・近江八幡市長福寺文書調査
・彦根城博物館寄託史料調査
・高知県史編纂調査
・園城寺文書調査
・舞鶴市木船家文書調査
・八幡市家村家文書調査
・福知山市芦田家文書調査

漁村調査於神子浦
研究風景