2018年3月卒業

福井 知樹

公益財団法人 滋賀県文化財保護協会

福井 知樹

Q1. 仕事の内容を教えてください。

私は平成30年に滋賀県立大学を卒業し、公益財団法人滋賀県文化財保護協会へ就職して、今年で5年目となりました。当協会では、国や県、市町からの依頼を受けて発掘調査・整理調査を実施しています。また、調査に伴う展示や現地説明会、得た調査成果などから講演や研究、普及活動を行っています。
現在は滋賀県立安土城考古博物館内にある整理室で、滋賀県内で行われた発掘調査の整理調査を担当しており、発掘調査報告書の刊行に向けて、日々調査を進めています。また、普及活動も行っており、中学生の職場体験の受け入れや、夏休みには整理室公開事業・埋蔵文化財整理調査報告会「あの遺跡は今!」というイベントを開催しています。
故きを温めて新しきを知る、そんな毎日を送っています。

Q2. どんな大学生活を送りましたか。

入学前は歴史に興味があるだけで、特段何をしたいという思いはありませんでした。しかし、縁あって1回生のころから、考古学研究室に出入りさせていただいて、発掘などの調査に参加させていただきながら、先生方や、優しくも個性あふれる先輩方にいろいろ教わり考古学の奥深さを知りました。
考古学の調査以外にも、2回生のプレゼミで民俗学ゼミに入っていたこともあり、民俗調査に行ったり、実家から古文書が見つかった縁で古文書調査をしたりといろいろな経験をさせて頂きました。
3~4回生では卒業論文の資料集めや研究に多くの時間を割いていました。迷走することもありましたが、同期の友人たちと切磋琢磨しながら、無事乗り切ることができました。
実際の考古学的遺物・民具・古文書などに触れながら充実した4年間を過ごせたと思います。

Q3. 地域文化学科で学んだことで現在活かされていることは何ですか。

地域文化学科で学んだことで、仕事の上で直結しているのは、専攻していた考古学です。発掘調査でみつかった遺構・遺物の検討をする上で必要となっています。また、遺構・遺物を検討する際に、文献を用いたり、地図を用いたりと考古学以外の分野で培った知識を使って、遺構・遺物の検討から導き出した説の傍証として活かしています。
ほかに、学芸員資格を取得しています。学芸員資格取得のために学んだことは、発掘調査速報展などの展示に活かされています。学芸員過程では、歴史・美術といった地域文化学科で学べる分野だけではなく、環境科学部の分野(自然科学など)も含めて学ぶことができ、活かせることが多いように思います。

Q4. 将来の目標を教えてください。

就職後、3年間は現場での発掘調査を担当し、その後整理調査を担当して現在2年目となりますが、それぞれの技能・知識の積み重ねが自分の経験となります。日々仕事をしていてわからないこと・知らないことも多く、右往左往することもあります。そのため、自分の専門分野だけではなく、幅広く様々な知識を得てキャリアアップしていきたいと思っています。一方で、専門としている分野についても研究を進めて論文の執筆をしたいと思っています。「誰にもできること」ではなく、「自分にしかできないこと」を極められるように日々邁進していきたいと考えています。

Q5. 地域文化学科を目指す高校生にメッセージをください。

「地域文化学科」という名称から何を学べるのかがよく分からないかもしれません。地域文化学科は多種多様なことを学ぶことができる学科で、史学・社会学・地理学などひとつの分野に縛られないというところが最大の魅力ではないかと思います。地域文化学科の先生方・先輩たちは自分のやりたいことを見つけさせてくれる起爆剤になると思います。ざっくりこういうことを学びたいという気持ちがあれば自ら興味を持てる分野が見えてくると思います。
当協会では滋賀県立大学などの大学と連携を行っており、夏期休暇などで学生さんを発掘調査現場での雇用をしています。発掘調査や考古学に興味があればぜひ地域文化学科を目指してください。考古学に限らず地域との連携もあり、「こういうことをしてみたいけど、どうなのだろう」ということがあれば、トライしていけるのが地域文化学科ならではだと思います。
受験勉強は大変で辛いものだと思います。しかし、そこで培った基礎的な知識や経験はいずれ役に立つときが来ます。また乗り切った時に得られる達成感は何事にも代えがたいものとなるでしょう。頑張ってください。