水害を防ぐ新しい草刈機の研究

山本友香

 近年では地球温暖化により、ゲリラ豪雨などの異常気象が多発するようになった。特に堤防は洪水時に氾濫を防ぎ、人命や家財を守る身近な存在だ。しかし、ダムや堤防が耐えられないような予測できない水害が発生すると、多くの住宅が巻き込まれ被害が大きくなる。滋賀県にも500本以上の一級河川が存在し、大雨により水害が発生しやすい地域がある。その被害を防ぐため、毎年雨が多くなる前に堤防の草刈りが実施され、堤防の安全性の点検を行い損傷の早期発見を目指している。

 このように定期的なメンテナンスの欠かせないインフラであるが、財政の問題から十分にメンテナンスできていない実態がある。除草剤を撒くことができない堤防にとって、定期的な草刈りなどの維持管理は永続的に必須である。そのため現在は河川の除草作業は業者に委託して実施されており、委託できなかった部分は河川愛護団体などボランティアの協力で成り立っている状態だ。しかし、地域では高齢化で人口も減少し担い手不足が問題となっている。人手不足やコストの面で、堤防の維持管理ができなくなれば水害が発生し、大きな被害につながる原因となる。また景観悪化によって不法投棄が増加し住民の憩いの場としての活用がされなくなる可能性が懸念される。本制作では堤防での草刈の課題は作業の省力化や作業環境の改善であり、ロボットを導入することでこれらの課題が解決ではないかと考える。

 また従来とは異なる自立して動く草刈機と人や地域との関係に着目し、基礎的な水災害の予防から、新しい草刈機とのコミュニケーションを通して災害に対する意識の向上までも志す。調査をもとにこのような「未来の新たなサービスロボットと人の暮らし」の可能性をカタチ作ることを本制作の目標にする。