差別と偏見への抵抗

池本春花

近年、平等主義思想が普及し、高い人権意識が共有されていると考えられている現代においても、日本では依然として差別や偏見に苦しむ人々が大勢存在する。ソーシャルメディアが発展し、自分の意見・思想を発信することは簡単であるにもかかわらず、実際は世間の目を気にしている人々が多く、発信しづらいのが現状である。差別問題の他にも新型ウイルスや政治についての不安が募るなかで、自分が自分のために自分らしく生きることを諦めずに立ち上がろうとする人々が少ないと思われる。

 第二次世界大戦後のアメリカは発展を遂げ、豊かな国になっていった反面、朝鮮戦争やマッカーシー旋風によって虚偽と不安に満ちていた。そんななかで文明からの脱出と人間革命を目指す人々「ビート・ジェネレーション」がアメリカで初めての思想運動を起こした。豊かな国から離脱し、自分の思うままにシンプルな詩を書き、それを朗読する。自我を無制限に解放する姿をアメリカや世界に発信し、自分で自分の人生を決めていくことができることを人々に知らしめたと言われる。

差別や偏見の問題は時代が進み、社会が変化しても各時代の社会状況に応じ形を変えて常に浮上するように思われる。男女差別や人種差別、容姿差別など他にもあらゆる差別が存在し、被差別者はそれと戦い続けなければならない。諸外国では差別について向き合い、自分の意見・思想を発信する人々が多いと感じる。世間体を気にすることや、「沈黙は金なり」と口を閉ざす人々が多いと思われる日本では、意見・思想を発信する環境がなかなか整わない。民主主義国である日本が、現在この状況であるのは、住みよい平等な社会を作っていく上で危険なことではないか。現状を打破するためには、意見・思想の発信の重要性や影響力を理解する必要があるのではないか。本研究ではビート・ジェネレーションの活動を調査し、意見・思想を発信する方法として最適であるものを考察した。