小中学生の管楽器奏者を対象とした 演奏時の理想的な姿勢を癖づける椅子の制作

新宮 遥

 LD賞2016

管楽器演奏において姿勢は重要である。姿勢によって息の入り方が大きく変わるため、姿勢は演奏の前提となる。
 管楽器を始める年代は、小学校高学年から中学生に多い。成長期と重なるこの年代は、個人の体格差が大きく、自分にあった高さの椅子を見つけることが難しい。そもそも、楽器を始めたばかりは音を鳴らすことに必死になり、姿勢はおろそかになりがちである。姿勢は癖になりやすいため、楽器を始めた当初に正しい姿勢を身に付けておくことが重要である。
 今回制作したこのスツールは、姿勢を演奏時における理想的な状態に矯正する機能をもつ。このスツールに座ることで、意識していなくても姿勢が勝手に矯正されるため、その分演奏に集中することができる。成長期の幅広い体格差、成長の早さに臨機応変に対応できるよう、座面の高さを315~495mmまで無段階に調節する機能を設けた。
 座面の色と脚の部材は自由にカスタマイズでき、自分好みにすることで、楽器練習のモチベーションの向上を図った。