黒田末壽
◆◆2005年度活動報告◆◆
この年の暮れ、朝の琵琶湖線が「人身事故」で遅れることが日常化していた。ほとんどが鉄道自殺である。日本経済は株投資に沸く小バブル状態だが、貧富差の拡大、犯罪の増加が著しい。「市場原理」「能力主義」「IT化」「グローバル化」の進行で日本は危険で非情な社会に移行中だ。しかし、その政策は選挙で是認され止まらない。私たちはどうするか、どう老いるか ・ ・ ・自問の連続の1年だった。
◆武邑さんと合わせた「人と地域ゼミ」4回生は19名、修士は2名が卒論修論を執筆中。楽しみである。比嘉肖江さんは看護師の死者への思い、患者家族への思いを伝える博士論文「看護師による死後処置の医療人類学的研究」を提出。
◆人類学研究は、東京外語大での「人類者会の進化史的基盤研究」で日本の霊長学における集団概念の検討、神戸学院大「伊谷学」での社会構造概念の研究、両者をまとめる「日本霊長類学の思想」を執筆中。一昨年からの「今西錦司の身体知の研究」、「幼型進化の人類社会への影響」研究も進行中。
◆地域研究・地域貢献◆
◆彦根市三津町の字誌作りに環琵琶湖文化論実習の1回生と2回生とで参加。一昔前の生活を聞き取りし字の文化祭に展示。
◆夏、屋久島で全国募集の学生と「森林伐採による災害」のフィールド講座。学生は急速に成長すると実感。
◆夏から高島市と「環の郷地域研究交流センター」設立の交渉。市と大学を結び学生が地域文化を学び活性化に貢献するセンター。市の尽力に応えて上田洋平・戸田雄一君が活躍し、秋祭りは精華大学と共催で100名が参加、地域の絵屏風作成も二人が順調に進行させている。
◆「杣の会」の今北哲也さん、市民環境研究所の石田紀郎さん、「いりあい・よりあい・まなびあいネットワーク」の島上宗子さんたちと「火入れで里山を再生させる研究会」を結成、日野町鎌掛で「しゃくなげ学校」の方たちと野焼き・木酢散布で美しい美味な日野菜を収穫し、漬け物にした。
◆今北さんと針畑での聞き取りも継続。
◆もう一つの里山再生として、吉村文彦さんの「まつたけ十字軍」で松茸山の再生法を習っている。
◆くつきの森(旧朝日の森)が高島市の新しい事業として開始準備。地元の「麻生里山センター」のくつきの森運営を助ける協議会メンバーに。
◆日野町奧之池では歯黒恵子さんのお世話で「歯黒講」の名がある歯黒一族の惣仏講を取材し、蓮如直筆の文書を拝見できた。
◆地域の劇場(精華小劇場)を応援するシンポジウム「僕たちは圧倒的に間違っている」、京都文化会議「心をもとめて」に参加・・・など。