道具デザイン史 2単位

(1)授業のねらいと内容

近代以降における道具デザインの変容についての解説。近代以降の工業化によって、生活環境を構成する道具は大きく変容してきた。従来のデザイン史が歴史上有名なデザイナー個人やグループの造形思想に重きをおいて造形上の変容を説明してきたのに対して、本講義では、近代以降に登場した家庭用生活機器・生活道具を中心に、それらの成立・発展・普及の経緯やデザインの変容について、経済的・社会的・文化的・技術的背景との関係から考察する。道具のデザインが恣意的な外形上の操作ではなく、産業社会における生産と生活の形態と深く結びついた活動であることを理解させる。

(2)授業計画

  • 第1回 オリエンテーション、デザイン史を学ぶ意味、デザイン史の2つの視座について
  • 第2回 デザイナーなしのデザインの時代(19世紀、イギリス・アメリカ)
  • 第3回 初期機能主義のデザイン(1920−30年代、ドイツ・イギリス)
  • 第4回 インダストリアルデザイナーの誕生(1930年代、アメリカ)
  • 第5回 企業とデザイン(1940−50年代、アメリカ)
  • 第6回 家事の機械化(1900−1940年代、アメリカ)
  • 第7回 台所の近代化(19-20世紀、イギリス・アメリカ・ドイツ・日本)
  • 第8回 期末レポートの出題・解説、テーマの見つけ方、レポートの書き方
  • 第9回 ラジオのデザイン(1920−40年代、イギリス・アメリカ)
  • 第10回 プラスチックとデザイン(19世紀-20世紀、アメリカ・イギリス・ドイツ)
  • 第11回 戦後日本のインダストリアルデザイン(1940-70年代)
  • 第12回 アノニマスアプローチによる道具デザイン史(個別研究事例の紹介)
  • 第13回 デザイン史からみたデザインの現代、授業の総括

(3)成績評価

出席状況とレポート(文献レポートと期末レポート)による。期末レポートは出題から提出まで約2ヶ月間とする。成績評価への寄与率は、文献レポート20%、期末レポート70%、出席その他10%。

(4)テキスト、参考書

阿部公正ほか「カラー版・世界デザイン史」(美術出版社)、 ペニー・スパーク「近代デザイン史」(ダヴィット社)、 アドリアン・フォーティ「欲望のオブジェ」(鹿島出版会) 、柏木博「デザインの20世紀」(日本放送出版協会)ほか、初回授業時に文献リスト配布する。