比較道具論 2単位

(1)授業のねらいと内容

比較文化の視点から道具を考察する基本的視点の解説。個別的文化をこえて生活道具の多様性を理解するため、世界各地の生活用具をとりあげて日本の生活用具と比較し、その相違をもたらした文化的・技術的背景について考察する。比較の対象としては、日本および世界各地の伝統的道具ばかりでなく、近代化以降の道具、大量生産による現代製品についても取り上げ、生活文化と道具デザインの密接な関係についての認識を深める。比較の対象領域として、わが国の近代化以前の道具文化との関連の深い朝鮮半島、および近代化以後の主要な文化移入元のひとつであった英国、第二次世界大戦後の工業製品において日本に強い影響をもたらした米国などを取り上げる。

(2)授業計画

  • 第1回 比較道具論の視点、道具の多様性、伝播と進化(便器と便所)
  • 第2回 民具の概念、民具研究の事例(藁の文化)
  • 第3回 日本の伝統的道具1(火鉢とこたつ)
  • 第4回 モンゴルの住居と道具(ゲル、ゲル内の民具)
  • 第5回 体験学習:モンゴルゲルの解体
  • 第6回 ヨーロッパの伝統的道具(調理と暖房の火の設備)
  • 第7回 日本の伝統的道具2(鍋と鉄鋳物)
  • 第8回 中国・朝鮮半島・日本のすわる文化
  • 第9回 大学におけるレポートとは何か、レポートの書き方、資料の集め方
  • 第10回 道具の近代化1(イギリスの鍋)
  • 第11回 道具の近代化2(電気やかんと魔法瓶)
  • 第12回 道具の近代化3(真空掃除機)
  • 第13回 道具の近代化4(風呂)
  • 第14回 小道具のアノニマスヒストリー(ガラスびん)
  • 第15回 道具を通してみえるもの、授業全体の総括

(3)成績評価

出席状況とレポート(小レポート2〜3本。期末レポート1本)により評価する。 期末レポートは出題から提出まで約2ヶ月で、成績評価への寄与率70%。

(4)テキスト、参考書

道具学会・道具学叢書編集委員会『道具学への招待』(ラトルズ)、村瀬春樹『おまるから始まる道具学』(平凡社新書)ほか、初回授業時に文献リストを配布する。