考現学概論 2単位

(1)授業のねらいと内容

生活を捉える基本的方法論としての考現学について解説する。日本において創始された考現学は、生活のありようをとらえる有効な方法であるばかりか、生活実態に即したデザインの発想をうながし、現在まで多くの生活研究者・デザイン実務家によって発展・継承されている。考古学者が発掘した遺構・遺物から過去の生活相を復元し想定するように、考現学では、現在の生活を観測、観察、記録して、その生活相の変化を明らかにし、新しい生活をデザインするための立脚点とする。本講義では、考現学の創始者・今和次郎(1888〜1973)から現在にいたる考現学的生活研究の系譜を論じ、さまざまの考現学的調査手法を事例を交えて解説するとともに、実際の調査体験を通して、生活文化をとらえるための有効な視点・方法としての考現学的観察・記録の意義について考察する。グループワークによる調査体験、授業期間終了後の個人調査・レポート制作を含む。

(2)授業計画

  • 第1回 考現学とはなにか(基本的定義・方法的特性)
  • 第2回 今和次郎とその考現学、その時代背景
  • 第3回 今和次郎グループの考現学手法(直接観察、スケッチ、計測、集計、図化)
  • 第4回 考現学の現代的継承1(生活財生態学、民具悉皆調査)
  • 第5回 考現学の現代的継承2(とげぬき地蔵の考現学)
  • 第6回 考現学の現代的継承3(自動販売機の生態、自転車駐車の生態)
  • 第7回 グループワーク1(調査テーマの探索)
  • 第8回 グループワーク2(調査テーマ決定、仮調査)
  • 第9回 グループワーク3(調査方法詳細の決定)
  • 第10回 グループワーク4(調査経過会議)
  • 第11回 グループワーク5(調査経過会議)
  • 第12回 グループワーク6(調査結果の集計・分析、成果報告準備)
  • 第13回 グループワーク7(成果報告会)、個人調査課題の出題

(3)成績評価

出席状況とグループワークでの貢献度、個人調査レポート(期末レポート)により評価する。個人調査レポートは授業期間終了後、夏期休暇中に作成し、成績評価への寄与率は80%。

(4)テキスト、参考書

今和次郎「考現学入門」(ちくま文庫)ほか、初回授業時に参考文献リストを配布する。