プラスチックと近代のデザイン - 道具デザイン史からの視点 -
基本認識
プラスチック(合成高分子材料)が現代の生活様式を支えている。
- ・身の回りにプラスチックが溢れている
- ・いろんなカタチ、いろんな用途に拡がる
- ・量産に適した材料として、また使用目的に合わせられる材料として進化してきた
近代以降のデザイン(その活動と成果)は、プラスチック技術と密接な関係がある。
歴史的視点
プラスチックに対するイメージ(文化的位置付け、価値観)は、時代によって揺らいで(変動して)きた。
- ・代替素材 、イミテーション素材
- ・未来的素材、革新的(ハイテク)素材
- ・安物、悪趣味なモノ
- ・プラスチックならではのモダンなモノ
- ・使い捨ての(地球環境にやさしくない)素材
- ・シック素材
英米のプラスチック道具の歴史的事例から
ファンシーなもの、ハイテクなもの
- ・希少素材のイミテーション
- ・機能素材(電気絶縁材料など)
- ・外装素材(流線型など)
- ・カラフル素材
自然材イミテーションから、カラフル化へ
- ・「製造コスト安く、かつスタイリッシュ」
- ・しばしば、大衆的(バッド)テイスト、キッチュへ
歴史をふりかえって
プラスチック道具(コンシューマープロダクト)においては、
- ・技術的に可能なもの(常に拡大・拡張)
- ・文化的に受入可能なもの(時代的に変動)
- ・経済合理性にかなうもの
の間で、妥協点が求められ、そこにデザインが参画してきた。
おわりに
- ・私たちはこれからもプラスチックとともに生きてゆかなくてはならない。(そのために、人とプラスチックの交流の作法を確立しなくてはならない。)
- ・見えないもの、触れないもの、聞こえないもののデザイン(社会全体がおこなうモノづくりの活動としての)の方法はまだ開拓されていない。
- 製品事例
- 拳銃グリップ(自然材とそのイミテーション)
- 女性用装身具(セルロイド)
- 電気湯たんぽ(ベークライト)
- ラジオ(ベークライト)
- 電気扇風機の羽根(ベークライト)
- 子供用茶器(バンダラスタ)
- ラジオ(カタリン)
- カップ(メラミン)
- タッパーウェア(ポリエチレン)
- 内装用化粧版(メラミンなど)
- 棺桶(ベークライト)
- 注連縄(ビニール)