コンビビアリティとマクドナルド化 - 人を幸せにする道具 / 不幸にする道具 -

視点1:コンビビアリティ(I. イリイチ、1973 ※1)

(語源) convivial = 宴(うたげ)、宴をともにする→→ ともに・生きる(楽しむ)

  • ・人間の自立・創造性・自由・公平を保障するような道具(や制度)のありかた
  • ・使用価値をつくり出す自由があり、その自由が公平に配分されるような道具(制度)のありかた
  • ・過度な「合理化」になんらかの制限・抑制をあたえることによって実現 
    (量の制限、市場依存の抑制・・・・ラディカルだが、ある意味では「反動的」でもある)

視点2:マクドナルダイゼーション (G. リッツアー、1993 ※2)

(語源)あのハンバーガーチェーンの「マクドナルド」→→ 消費形式の究極的合理化

以下の4つの次元を提供したことが、アメリカばかりでなく世界的に成功した要因とされる。

  • ①効率化(作業工程の簡素化、商品の単純化、客を働かせること)
  • ②計算可能性(販売量、価格、時間などの定量化、製品や労働の規格化)
  • ③予測可能性(提供するサービス・商品がいつでも、どこでも同一)
  • ④制御(人間技能の、人間によらない技術体系への置き換え)
セルフメイド・職人仕事・工業製品:一般的な特性
価格 コンビビアリティ マクドナルド化
セルフメイド × △? ×
職人仕事 ○? △/○
工業製品 ○? ×

マクドナルド化の利点:

マクドナルド化(道具の生産・流通の合理化追求)には利点もある(だからこそ、優勢になってきた)。

  • ①低価格
  • ②製品の均一化
  • ③省力化・時間短縮
  • ④モノの「民主化」(所有機会の平等化)  cf. ユニクロ、100円ショップ

提言:

  • ・過度のマクドナルド化にはできるだけ抵抗しよう。
  • ・道具のもつコンビビアルな可能性(ニッチ)を探そう。
  • ・社会全体のマクドナルド化の中にあっても、沖縄道具世界のコンビビアリティを発見し、活用する方途を考えよう。
  • ※1 Ivan Illich, Tools for Conviviality, 1973. (イヴァン・イリッチ「自由の奪回」佑学社 1979)
  • ※2 George Ritzer, The McDonaldization of Society, 1993. (G・リッツア「マクドナルド化する社会」早稲田大学出版部 1999)
(道具学会フォーラム2004 シンポジウム「OKINAWAの道具世界から見た暮らしのわざデザインのちから」報告)