交流センターを利用した学会・シンポジウム運営のヒント

 2000年度に、ボランティア学会(参加者数約200人)、日本動物行動学会(参加者数約300人)が滋賀県立大学交流センターで行われ、ぼくはこの二つの準備を担当しました。学会ならではの細々とした問題はなかなか事前には気がつきにくいということを身をもって体験しました。ここに、ノウハウをいくつかまとめておきます。幸運にも(?)これから学会を運営することになった方、お手伝いはできませんが(もうカンベンして下さい、ホント)、何かのご参考になれば幸いです。(細馬)
 


動物行動学会の大学アクセスマップ・交流センター内案内図(PDFファイル)
改変してお役立て下さい。

施設全体について


[冷暖房は施設課に要予約]
 2、300人の規模の学会であれば、交流センター一ヶ所で効率よく運営ができる可能性があります。まずは、交流センターに相談して主な設備を尋ね、会場の割り振りを決めましょう。会場としてはホワイエ、ホール、8つの研修室があります。研修室はパーティションによって部屋の大きさや数を多少変えることができ、部屋によってはOHPやスライドプロジェクター、ビデオモニタ、スクリーンなどが備わっています。ホワイエにも可動式の巨大展示パネルが備わっているので、空間を仕切りたい場合は便利です。
 研修室の机を室外に移動させる場合は、裏にガムテープを貼って研修室番号を書いておきましょう。撤収作業の際に役に立ちます。
 交流センターの冷暖房は施設課の管理下にあるので、交流センター室とは別に、施設課にあらかじめ日時と冷暖房の運転範囲を報告しておく必要があります。これを忘れるとうだる暑さや凍える寒さの中で会を開くことになるので注意。
 


昼食について


[昼食数を把握しておく]
 市街地から離れた開催地はどこでもそうだと思いますが、滋賀県立大学の周囲には、徒歩圏内にあまり外食を取れる場所がありません。午前・午後に渡る会合の場合、参加者のための食事をこちらで用意する必要があります。
 開催のアナウンスがまだなら、昼食場所が少ないことを書いた上で申込書に「昼食希望」の欄を設けて正確な数を把握するのがいいでしょう。できれば昼食代を設定して大会代とともに徴収してしまいましょう。これをしない場合は、リスクはありますが、申し込み数からおよその昼食数を割り出すことになります(後述)。

[どこに昼食を発注するか]
 日本動物行動学会の場合、生協食堂と交渉しました。開催が土日だったので、生協食堂を貸し切って500円の定食を人数分出してもらいました。問題は人数の割り出しですが、結果的には約300人の出席者に対し200人弱が定食を利用しました。残りの人は来場した車で外食に出るか、コンビニ等で弁当を購入していたようです。生協食堂の厨房には多少食材のストックがあり、2、30人くらいなら予定をオーバーしても対応が可能とのことです。このあたりは担当者の方とよく相談するとよいでしょう。
 万一、用意した数を大幅にオーバーする場合は、近くの弁当業者(ほか弁、ベントマンなど)の配達サービスを利用して不足分を補うことができます。また、スタッフには食堂まで往復する時間的余裕がないことが多いので、こうした配達弁当を利用するとよいです。
 参加者全員に弁当を配るのも一手です。一週間くらい前に弁当業者に連絡して人数分を予約しておきましょう。晴れなら学内のあちこちに座って食べることができます。雨天なら交流センターで。いずれの場合も弁当ガラの回収に注意。

[当日までの段取り:生協食堂の場合]
事前に:
1: 生協には一ヶ月前くらいに予約を入れておく。
2: 2週間前までに生協に人数を知らせる。

当日に:
1: 会場受付で当日の9:00-11:30に昼食券を販売。
2: 11:30以降は生協食堂前にカウンターを仮設し販売。既にチケットを購入している人用の入口と未購入の人用の入口の二つを設けた。
 


飲料水


[自販機・ピアニシモの利用]
 ポピュラーな方法としては、電気ポットをいくつか置いて、傍らにインスタントコーヒーやティーバッグ、クリーム、砂糖等をおけばいいでしょう。交流センターの1F、2F奥に給湯室があり、ここで随時水を補給することができます。冷蔵庫もあるので、夏場なら水などをまとめて冷やしておくことも可能です。
 動物行動学会では交流センター内の自販機で各自飲んでもらうことにしました。参加者の負担にはなりますが、スタッフの負担が減るというメリットがあります(大事なことです)。参加者が多い場合、自販機のストックが尽きてしまう場合があります。あらかじめ管轄者である生協に連絡して、直前にストックを満タンにしてもらいましょう。
 あらかじめ使用数払いで契約して、会員に無料で自販機を解放するという荒技もあるそうです。が、やたらと使用数が特に増加してストックが尽きやすいので注意。
 交流センターに隣接する喫茶ピアニシモを利用する手もあります。休息場所としてスペースを使用することもできますし、厨房のコーヒーメーカーを借り切ったり、臨時営業を依頼する手もあります。いずれの場合も生協と相談してみて下さい。
 



掲示物


[道案内]
 会場外の道案内には、交流センター倉庫に10個ほどある縦長のボードが便利です。
 A4くらいの紙に学会名を印刷し、ボードに貼って、バス停など適当な場所に置くとよいでしょう。雨風が心配な場合は、透明なビニル袋をすっぽりかぶせてガムテープで止めればOkです。置く場所や向きによって矢印の向きは変わるので、掲示現場に行ってからマジック等で書き足すとよいでしょう。後片づけの際には回収を忘れずに。
 生協食堂を利用してもらう場合、初めての人には交流センターからの道はわかりにくいものです。昼食や懇親会の事前にスロープまでに一個、管理棟下に一個、階段上に一個くらいボードを置いておくといいでしょう。

[看板]
 立て看板、吊り看板などは業者に頼むのが安心です。腕に自信のある人は自作もよいですが、彦根は風が強いので制作と設置には注意しましょう。動物行動学会の場合は市内の早川工芸に交流センター前用の看板(1800*900)を注文しました。
 この他、必要に応じて、湖岸道路沿い(立て看板)、交流センターホール内(吊り看板)などを検討するとよいでしょう。
 
[会場内掲示]
 設営当日になって、必要な掲示物が増えることが多いので、できればプリンタとパソコンを交流センターまで持って行き、その場で掲示物を印刷すると意外に便利です。ホワイエ奥の研修室は場所がわかりにくいので、階段下、階段途中の手すりなどに掲示物をするとよいでしょう。
 
[ポスター発表用のボード]
 ホワイエには可動式の巨大展示パネルがあって、これを張り巡らせてそこに掲示物を貼っていくという手があります。ただし、レールのある部分にしかパネルは動かせません。ご存じない方は事前に交流センターの方で一度出してもらって実際に目で確かめるとよいでしょう。  動物行動学会では京都レントオールに発注して、組み立て式の学会用ボードを搬入してもらいました。設置場所が自由に設定でき、一ヶ所にポスター発表場をまとめたいときには便利です。経費は32枚で搬入代も含めておよそ17万余りでした。
 



交流センターのホール利用

 ホール利用の際には、調整室と舞台袖に最低一人ずつスタッフを置きます。講師控室を利用する場合は、ここにもスタッフがいるといいでしょう。初めての人にはホールの仕組みは難解です。経験者(特に学生)に相談しましょう。
 
[調整室]
 ホールの2Fに調整室があり、ここで主な照明や音響を調整しています。複雑な演出が可能ですが、この操作に通じている人は学内にはごくわずかです。学園祭、音楽系、演劇系クラブ・サークルの学生に相談してみましょう。ぼくの知る限り、経験者の学生は非常に有能で力になってくれます。もちろんバイト代は出しましょう。
 
[舞台袖]
 舞台袖には、MC以外に経験者のスタッフがいるといいでしょう。特に映像を使う予定がある場合は経験者を入れること。
 袖には、卓上の操作パネルがあります。壁に埋めこまれたスクリーンの出し入れ、そこに映す視覚素材はここで選択します。パソコンやDVなどを使う場合には、この操作パネル横の外部入力端子や、パネル下のビデオの外部入力端子につなぎます。パソコン用のRGB端子は機種によって信号がまちまちなので、パワーポイントなどを使う場合は注意が必要。事前に正常に映像が出力できるか確認しましょう。
 壁には舞台の上方にあるバーの上げ下ろしなどを調節する操作盤があります。吊り看板などはこれを使って上げ下ろしします。また、ここにはインカムがあり、調整室と連絡を取ることができます。進行責任者をここにおいて、舞台袖、調整室の両方に、必要な指示を飛ばすとよいでしょう。

[舞台準備]
 舞台用にはライン付きのマイクが数本、ワイヤレスマイクが2本あります。出演者の数や役回りに応じて割り振るとよいでしょう。指示棒を使った講演用にはワイヤレスを使うのが無難です(動き回るため)。マイクのボリュームは調整室でコントロールします。
 OHPは壁に埋めこまれたスクリーンに移すこともできますし、壇上に専用スクリーンを置くこともできます。演壇が意外にスクリーンの邪魔になるので配置に注意しましょう。
 壁のスクリーンは二つありますが、実は卓上から選択できる映像の組み合わせには限りがあります。同時に複数の映像を使う予定のある場合は注意が必要です。
 


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