荒神山古墳模型は、2003年度博物館実習の授業の一環として製作されました。また、荒神山古墳模型は、2003年度日本考古学協会滋賀大会で展示され、彦根城博物館や彦根市教育委員会などへも貸し出されました。
以下2003年度博物館実習の荒神山古墳模型の製作過程を順に追って説明していきたいと思います(増田洋平)。

なお、現在は交流センターの1階にて展示中です。


2003年7月のある日
考古地理実習室で高橋先生から、次回の博物館実習で荒神山古墳の模型を作ることを聞かされる。
高橋先生によると、各班で分担して、等高線に合わせて薄い発泡スチロールを切り抜き、それらを重ね合わせて作るとのことだった。


7月13日 博物館実習の前日
業者に発注していた厚さ5mm、縦182cm×横91cmの発泡スチロールの板30枚が部屋へと届いた。
そして、明日の準備作業を行なう。
各班に分かれて模型作りを行なうが、突然、荒神山古墳の実測図(1/100)を渡されても作業が進まないため、各班が切り抜く等高線をあらかじめ蛍光ペンでわかりやすくなぞっておいた。

    

7月14日 博物館実習の授業当日

まず今日の作業予定を順にみていくと
@ 作業についての説明。
A 1班から5班に別れる。
B 各班に260.00〜278.00mの等高線を割り振っていく。
C 1/100の実測図を発泡スチロールに写す。
D カッターナイフで切り取る。
E 台座に切り取った物を貼る。
F 着色などの仕上げ作業。
G 完成

材料:発泡スチロール
     1枚(縦182cm×横91cm×厚さ20mm)
     30枚(縦182cm×横91cm×厚さ5mm)
     カラーパウダー(ライトグリーン)
     カラーパウダー(カーキー)
     ラッカー(水性用)
     木工用ボンド
     両面テープ
     スプレーのり       etc…

@作業についての説明を行なった。

A1班から5班に分けた。分け方は、実習室の机が5台だったため、その机ごとに座っている人達で班を組むことになった。

B荒神山古墳は、最も低い場所:標高260m、高い場所:278mで、260.00〜278.00mの0.5m間隔の等高線で計37本から成り立っている。
発泡スチロールを37枚切り抜いて重ね合わせていけば、荒神山古墳の模型の完成となるはずである。
各班に等高線を割り振ったのだが、切り抜く量の多い少ないがでないように260.00mから50cmずつ1班から5班に順に割り振った。(数値が上がるほど墳頂に近づき切り抜く量が少なくなるため)。
1、2班は8本ずつ、3、4、5班は、7本ずつとなった。1班と2班が1本ずつ多くなってしまったが、一本と言っても頂上部分の等高線なので切り抜く量もほんの少しだけである。

C各班に配った1/100の実測図の下にカーボン紙を敷き、その下に厚さ5mmの発泡スチロールを敷く。そして、実測図の上からペンなどで割り振られた等高線をなぞり、下に敷いた発泡スチロールに写す。
この時、カーボン紙が小さかったため、各班苦労をしていた。その上、使い古しのカーボン紙だったためにほとんど使えなかった。各班は、最終的には実測図のコピーの上から鉛筆やペンで突き刺し、下の発泡スチロールに穴をあけて線をひいていた。
また、最終的に台座に重ねていく段階で上にのせる発泡スチロールをどこに貼るのか分からなくなってしまうので、等高線を写す時に50cm上の等高線を何箇所かとってもらうことにした。

D発泡スチロールは、5mmと薄いため普通のカッターナイフで綺麗に切り取ることができた。

E1班の262.00mから徐々に重ねていく。切り取った発泡スチロールの裏表を確認して、裏面に木工用ボンドと両面テープで接着面を作り、みんなでひっくり返し、台座となる少し太めの発泡スチロールに貼っていく。
各班が数字の低いものから1枚ずつあたっていたので、どんどん流れ作業で重ねていくことができた。

そして、37枚中半分くらい積み上げたであろう時に問題発生。前の班の上に次の班の発泡スチロールを乗せたのだが、下の班と比べて同じ大きさであった。つまり、この班か下の班が実測図から発泡スチロールに等高線を写す段階で、間違った等高線を写していたのだ。

しかし、原因がわかればすぐに対策は立てられるもので、急いで、足りない部分の発泡スチロールを切り抜いて対処をした。
こうして、何とか下の状態のような真白い立体模型(縦134cm×横84cm×高さ20.5cm)が出来上がった。

ここで、ひとまず博物館実習の授業は終了した。

後日

F着色などの仕上げ作業は、次の日へと持ち越しとなった。
作業としては、各段の等高線の発泡スチロールが粉をふいていたり、綺麗に切れていないものがあったのでカッターナイフで切り取る。
次に、全体に緑色のラッカーで色を塗る。続いて、ラッカーを塗るだけでは、リアリティーがでないので、カラーパウダーという粉を貼り付けて芝生のような質感にしていく。
スプレーのりを直接模型に吹き付け、その上からカラーパウダーを振りかけて、手で押さえつける。そして、模型にしっかり粉がつけば大丈夫である。
さらに、道と平坦面には黄土色のカラーパウダーを振りかけ、それ以外の部分には緑色のカラーパウダーを振りかけた。
そして、完成である。

    

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荒神山古墳模型展示