県大ミニ博物館 過去に実施した展示の紹介

我流・トミカの歴史 (1999年度)
展示企画者 柴田 亮(人間文化学部)
1・展示の趣旨
 日本を代表するミニカー、株式会社トミーのトミカ。小さい頃、私も含めてトミカに慣れ親しんだ人は多いと思う。トミカは、常に流動する自動車社会を反映して、様々なバリエーションを放出してきた。決して多くはないが、私が今まで集めてきたトミカのコレクションに、私自身のトミカにまつわるエピソードを付け加えて展示することにした。私の展示を見ていただいた方々が、昔ミニカーと遊んでいた思い出をしみじみと思い出していただくというのが、本展の目的である。

2・展示内容
 私のトミカコレクション53点を、そのモデルとなった車種の生産された年代、1960年代、70年代、80年代、90年代に分けて展示した。

3・解説パネル
トミカの誕生

 株式会社トミーから、トミカが誕生したのは1970年の事である。それまで、トミカのような、全長約7センチスケールのミニカーは、国産では存在しなかった。
 それまでは、国産のミニカーといったらすべて40分の1スケールの大きさであった。1959年に旭玩具製作所がモデルペットというブランドのミニカーを発売する。これが、国産初の本格的なミニカーだった。その後、ミクロペット、ダイヤペットといったブランドが後に続くが、現在残っているのはダイヤッペットだけである。
 これより小さい60分の1スケールのミニカーでは、英国のマッチボックスがあった。しかし、そのラインナップはほとんどが外国車で、子供達にとっては馴染みが薄かった。そこで、同スケールで、国産車種を主力にしたミニカーを求める声が高まり、トミカの誕生となったわけである。
 誕生当時はブルーバード、マーク?、クラウンなど6車種で、価格は180円だった。その後、国産の人気車種を次々とバリエーションに反映させ、現在に至るまで四輪車、機関車、二輪など全3000種類のバリエーションを放出し、合計生産台数3億9000万台以上を記録した。現代では値段が倍の360円になった。生産地も90年代半ばに日本から中国へ変わった。MADE IN CHINAになってからデビューした商品は、造型が甘くなっているものの、豊富なバリエーションは未だに健在である。

私のトミカにまつわる思い出(1)
 私が始めてトミカを買ってもらったのは恐らく4〜5歳の頃だったと記憶している。今から17年前のクリスマスの時、父にトミカを買ってもらって、家の茶の間で遊んでいる写真が今でも残っている。その頃はまだ小遣いをもらっていなかったので、たまに買ってもらう程度だった。自分の小遣いでトミカを集め始めたのはだいたい小学3年ぐらいの時だったと思われる。 
  1月500円の小遣いでは一つ360円(昔はちょっと安かったかも)のトミカが一つしか買えなかったが、それでも、クリスマス、お年玉の時にすべてをトミカにつぎ込んで、コレクションはどんどんたまっていった。一時は、確か50台近くあったのではないかと思う。
 小学校中学年ぐらいの頃までは、トミカの入っているパッケージは買ってから捨てていた。それでトミカは無造作に菓子箱の中に入れておくので、当然トミカの塗装がはがれ落ちていく。トミカが傷つくと、プラモデル用の塗料を塗って、自分流にアレンジする事も度々やった。高学年になってからは、傷つけまいと箱も保存するようになったので、それはやらなくなったが。今思えば、なんでコレクションを大事に扱わなかったんだとも思われる。
 後に、古くなったトミカは捨ててしまって、コレクションはだいぶ少なくなってしまった。そして、小5の時からプラモデルに懲り始め、トミカもあまり買わなくなってしまったのである。ついには、小学校卒業を機にトミカを買うのをやめてしまった。

トミカにまつわる思い出(2)        
 今から思うと小遣いの増え始めた中学生からコレクションの集めどきだったのに、と思う。小学校の時遊んでいた同級生に、私のコレクションを遥かに上回る数(100は優に越えていたと思う)を持っていた奴がいた。彼にはある意味尊敬するが、さすがこの歳でミニカーを買う勇気は早々無かった。そして私の興味はもっぱら、プラモデルや車の雑誌、CDなどに向けられたのである。
 のちに大学生になって、久し振りにおもちゃ店のトミカ陳列ケースを覗いてみたら、ずいぶん昔と商品の顔ぶれが違っているなあと思った。昔とは違い、いま流行りのRV車が充実していた。そして、久し振りにトミカを買いたい、という衝動に駆られてしまった。
 実はその時に、親戚の子供にあげると言って、一気に15台も買ってしまった。この手は使えるなと思ったが、それでも恥ずかしかった。実家の近くの店だったからだ。
 しかし大人にもトミカのマニアはいるようで、ミニチュアモデルの雑誌を見て初めて分かった。これで少し安心した。これからトミカを買うときはもっと堂々として買おうと思った。しかし、今の狭い下宿先の部屋には飾る所もないから、あまり買えないというのが現状である。
 取り敢えず今は、RV車、昔の復刻版にターゲットを絞って集めている。

トミカの製造工程

1・製品の企画会議
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2・イメージをつかむための木型製作
 彫刻刀やノミを使って手作業で行う。まずは製品と同じサイズ、そして次に精度を高めるために2倍のサイズの物を作る。
 1台につき30〜50時間かかる。
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3・図面製作
 2倍寸の木型から図面を起こす。
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4・金型製作
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5・鋳造・成型
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6・塗装
(脱脂機にかけて油気を取り、コンプレッサーで塗装。2色以上のボディーは、マスキングを行う。)
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7・タンポ印刷
 ミニカーのストライプや、ロゴなどを入れる。    ↓
8・組み立て
    ↓
9・検品・箱詰め

4・参考文献

「ミニカー大百科−トミカコレクションのすべて−」(発行・講談社・1987)
中島 登 「国産ミニカーマニュアル」 (発行・株式会社グリーンアロー出版社・1998)
「絶版車カタログ 国産車編 」1970−1979(上巻・下巻)1980−1989(上巻・下巻)(発行・英知出版株式会社・1997)


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