視覚障がい者が安全に駅を利用するための情報に関する研究
駅構内を安全に移動するための情報の事例についてインターネット、視覚障がい者へのヒアリング等によって調査を行った結果、大阪市、京都市などの都市部の地下鉄では、乗降位置案内が図で示されいることがわかりました。乗車駅での乗車位置がわかれば、降車駅での降車位置がわかり、乗り換えに便利な階段や大きな荷物を持っている場合や車椅子等の場合ではエレベーターの位置を確認することができます。しかし、これらはいずれも電車の車両数が同じで車両の止まる位置が決まっているため単純な図で表現が可能です。JR線のように車両数が異なり駅によって停車位置が異なる場合には、十分な検討が必要になります。
駅にどのような問題があるかについて、視覚障がい者同行の上、実態の把握を行い、特に、駅ホーム上での誘導鈴、点字ブロック、内方線の状況、改札内トイレの誘導の必要性について確認をしました。内方線があったとしても内方線側に壁があったり、点字ブロックを分断する柱があったり、さまざまな問題がみられます。誘導鈴については、音の大きさや音の種類など駅によって違いがみられます。
また、盲学校教員(視覚障がい者)へのヒアリングの結果、内方線の存在を知らない方がおられ、視覚障がい者に認知されていないということもわかりました。
以上の、事前調査を踏まえ、琵琶湖線各駅(京都駅から長浜駅)の必要な情報についての検討を行い、琵琶湖線各駅の実態調査を行いました。JRおでかけネットで得られる駅情報も利用しました。
調査内容
●上り線ホーム、下り線ホーム両方のデータ
●ホーム上にある設備 (階段、エレベーター、エスカレーター、待合室、ベンチ等) の位置
●階段と停車した電車の位置関係
視覚障がい者が単独で移動する場合、乗車時は階段に近い扉から乗車する。乗車位置(何両目の前から何番目の扉か)が決まっていれば、降車時に階段がどちらの方向でどのぐらいの距離にあるのかを知っておくことによって安全に移動ができる。各駅に必ず設置されている階段の位置と車両の位置関係が分かれば降車位置を特定できることから階段と車両の位置(何両目の前から何番目の扉か)関係の情報が必要である。
●先頭車両の止まる位置
車両の数によって先頭車両の止まる位置が違う時、どの位置に止まるのか。
車両数が違うと駅によっては先頭位置が異なるため、乗車時の位置は同じであっても降車時の位置が必ず同じ位置とは限らない。そのため、車両数と先頭位置の関係を知っておく必要がある。
●ホーム上の点字ブロックの内方線
内方線があることによってどちら側が安全であるかわかる。
●ホーム階段の誘導鈴
誘導鈴があることによって階段の方向を知ることができる。
●危険個所
階段下などホームが狭くなっているところを把握する必要がある。
これらの情報を視覚的にわかりやすくまとめる作業を行い、JR琵琶湖線駅情報冊子(checki)にまとめました。本冊子製作には、本学生活デザイン学科学生が授業の一環として関わりました。今後これをもとに音声データを作成する予定です。