私たちは生まれてから死ぬまでの間に、一体どれくらいの物と関わりを持つだろうか。改めて考えてみると、自らの持ち物でさえよく知らないでいることがある。例えば、個人がその人生において所有したものは、当人の死後どこへゆくだろうか？社会的に定められた規格の中で与えられた物を享受して暮らす私たちは、自らが何を持ち、何処に生き、何をしているのかその実感に欠けているように思う。これは、私たちの持つ「物」からのアプローチで住空間を考える試みである。人が、その人の記憶の蓄積とも言える家具や物と共に、緩やかに変化し新陳代謝を行ってゆく住まいである。