4/16 藤本麻里子さん 
 本発表では修士論文の内容を紹介していただきます。
藤本さんは、同志社大学大学院工学研究科数理環境科学専攻修士課程を経て、 今春、本学大学院人間文化学研究科生活文化学専攻人間関係論研究部門 博士後期課程に入学されました。
修論では、嵐山E群を対象に、毛づくろい 交渉の開始・Groomer(毛づくろいする者)とGroomee(毛づくろいされ るもの)の役割交代の起こり方・毛づくろい交渉の終了の状況を詳しく 観察されています。 毛づくろい交渉の一連のシークエンスを解明し、メス− メス間の毛づくろい交渉が交尾期と非交尾期とでは異なることを明らかに した興味深い内容です。
5/14 松村早希子さん 
 言語産出とジェスチャーの関係について、近年その関係をモデル化する研究が、 de Ruiter(2000),Krauss et al.(2000), Kita&O¨zyu¨rek(2003)によって報 告された。それぞれが示すモデルは、Levelt(1989)の言語産出モデルを基に、ジェス チャー産出過程が加えられたモデルであり、ジェスチャーと言語産出がいつ、どのよ うに影響を与え合うかという点で、異なりを示している。 しかしながら、全てに共通 して、ジェスチャーが言語産出に影響を与えることが記されている。  一方、英語教育の実践や研究におけるジェスチャーは、「指導内容」として扱う身 振り言語の日英比較や、「指導方法」とするTPRなどが取り扱われてきた。 しかし、 言語産出に直接影響を与える要因として言及されることは少ないように思われる。 そ こで、ジェスチャーを交えて話すことが、言語産出に関わり、言語産出を促進するこ とを示し、英語教育実践における身体表現の役割について再考を行う。
5/28 水野友有さん 
 話題提供者の水野友有さんは、滋賀県立大学人間文化学研究科において、この3月に博士号を取得されました。これまでは、京都大学霊長類研究所において、飼育下のチンパンジー母子を対象としたコミュニケーションを、ヒトの母子との比較から研究されてこられました。博士号取得後は、研究対象を野生チンパンジーの母子にも広げていらっしゃいます。次回は、水野さんがご自身の目でじっくり観察された野生チンパンジーの母子間コミュニケーションについて、ご報告いただく予定です。
6/18 西條剛央さん 
博士論文をもとに,母子間の抱っこの研究を発表させていただきます。発達の初期に おいて,授乳,なぐさめ,運搬,コミュニケーションといった行為はしばしば「抱き」 を介して実行されます。したがって,抱きは母子という基本的2者関係において,様々 な行動を媒介する重要なシステムといえるかと思います。こうした抱きという行為の 重要性にも拘わらず,抱きに関連した研究においては,子どもを左右のどちらで抱く ことが多いかといった左抱きの優位性に関する研究が多く見られますが「抱きとはど のような行為であるか」といった基本的かつ根本的な問題は検討されてきませんでし た。申請者はこの根本的な問いを明らかにすべく以下のようなキーワードを基軸に, 抱きの検討を重ねてきました。「遠心―求心」,「縦断研究」,「自己組織化」, 「ダイナミック・システムズ・アプローチ」,「間主観性」,「離抱」。当日は,博 論の概要に加えて,特に総合議論において論じた,完了した事態に対して外部から記 述してきた,これまでの行動研究の根本問題を議論していけたらと思います(『母子 間の抱きの人間科学的研究』(北大路書房)のp116〜参照のほど)。
7/9 井上陽一先生、井上悦子先生、平田聡先生 
テーマ:テナガザルの知性とコミュニケーション
話題提供者:井上陽一 先生(西舞鶴高等学校)
      井上悦子 先生(中丹養護学校)
指定討論者:平田聡 先生(林原類人猿研究センター)

7/17 石田英実先生、松嶋秀明、竹下秀子先生、黒田末寿先生 
●「こころの発達の進化人類学」/日本人類学会進化人類学分科会との共催/オーガナイザー:石田英実(滋賀県立大学)
日時:7月17日(土) 13:30〜
●場所:滋賀県立大学人間看護学部E5棟102室(第2中講義室)
●プログラム
1.はじめに
  石田英実(滋賀県立大学人間看護学部)
2.交渉される非行少年の「過去」
  松嶋秀明(滋賀県立大学人間文化学部)
3.ヒトの赤ちゃんの「探索」の発達
  竹下秀子(滋賀県立大学人間文化学部)
4.人類社会進化における心と体の試論:情動の進化と自然制度
  黒田末寿(滋賀県立大学人間文化学部)
5.総合討論