私たちは、今年度大きく2つのテーマを扱っています。
テーマ1「大豆タンパク質の不快フレーバー改善調理法および保存方法の検討」
大豆を高度に加工した大豆タンパク質は、乳化性、保水性、結着性などの加工特性に優れており、さらに大豆の持つ栄養機能性からも注目されていますが、特有の青臭さが敬遠されて利用範囲が比較的限られたものとなっています。
したがって、この不快臭の除去・軽減が、他の食材との組み合わせや調理法・保存方法によって可能になれば、これまで以上に広い利用が可能となります。今までに、消臭作用を持つ食用野草に関する先行研究があります。安全性がわかっているこれらの野草・ハーブと組み合わせることによって不快臭の低減化された大豆タンパク質の開発を目指します。
また、ヒトの嗅覚機構を模した「匂い識別装置」を用いて解析を行います。この解析は、におい全体をパターン化して表現する手法で、消費者が実際の食品や製品から受ける匂いの影響に近い評価ができると考えられます。同時に、ヒトでの官能評価も行い、匂い識別装置のデータと比較検討を行うことで、消費者の好みを数値化、パターン化します。
テーマ2 「授乳中の月経が授乳や乳汁成分に与える影響」
授乳中の月経再来は、乳房基底部の癒着を強くし、伸展性を悪くするため、乳質・乳量が低下すると考えられており、実際に月経開始前及び月経中に、子どもの母乳の飲み方の変化や、乳汁トラブルを自覚するお母さんもおられます。
授乳中の月経再来時期については、授乳回数や夜間授乳に影響を受けることは先行研究がなされていますが、月経中のお母さんから分泌される乳汁成分や子どもの哺乳行動に関する研究は、現在のところなされていません。
そこで、月経が再来しているお母さん方に授乳中の様子を観察していただき、月経に伴う子どもの哺乳行動の変化を調査し、また同時に、乳汁の成分分析を行い子どもの哺乳行動への影響を検討することで、乳汁トラブル解消へ向けた支援方法を提案していきたいと考えています。