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領域を超えて交通結節点をつなぐシェルター
例:千葉急行線おゆみ野駅(千葉市)

 千葉急行線おゆみ野地区では、駅舎、駅前広場、歩専橋と共に街区の骨格形成を目的として、シェルターが総合的に計画されている。広域的視点における立地特性としては、地区全体を回遊している歩行者専用道路(四季の道)上に位置している。この四季の通が唯一、駅と接するのがおゆみの駅前であり、そこでは鉄道系、歩行者系、自動車系が平行に接した、密度の高い交通結節点が形成される。

これら3つの交通系をつなぐ空間的媒介(大シェルター)を、歩専道の軸と鉄道の軸の「ずれ」がつくり出す隙間を利用して設えている。シェルターの軸が新しい都市軸を意識させ、鉄道の駅に対する道の駅としての新たな散策拠点横能を付加させながら、街区の骨格形成を支援している。

 空間的には、駅構内(屋内)から駅前ロータリー(屋外)への連続性をつくり出す半屋外空間施設として、公共歩道上に柔らかな光を取り入れた膜屋根構造の大空間を建築物として設えている。駅高架下を含んだこれらの複合空間をセンター街区の主要結節拠点として位置付け、一つの広場として有効的に活用することにより、空間的にも樵能的にも南北に分断されている駅広を、一体として融合化することを可能にしている。景観的には、鉄道駅としての屋根と道の駅としての屋根を、官民管理区分境界を意識させない連続屋根形態として、街区の顔づくりを目指している。

 10万人対応の商圏人口を想定した約8haのセンター街区の形成に向けて、まず、平成7年に駅が開業し、北口駅前ロータリーの整備と共に街への導入が確保された。その後、平成8年に四季の道を含めた歩専橋の整備が終わり、おゆみの地区の回遊拠点としての性格が強められてきている。シェルターは、バス路線等の地区の交通網の整備や沿線人口の増加をにらみながら、今後、駅前機能施設と共に段階的に整備していく。(印南比呂志)

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