●土井ゼミの紹介 DOI SEMINAR

◆自己紹介

学生からは「土井先生はこわい」という評判があり、他の学生は「土井先生はやさしい」という。前者の学生はだいたい低学年であり、後者は高学年の学生に多い。低学年の学生はやはりまだ建築なり住居なりの理解が浅く、問題意識も薄く、勉学の姿勢が十分出来ておらず、散漫になっていることが多いようだ。それでどうしても厳しくなるらしい。本当は高学年の学生の意見のほうが正しいと自分では思っていますが。

◆卒業設計について

・土井ゼミでは「これからの住居、建築、都市あるいは集落がどうなっていくか」という大テーマの中から自分の興味のある範囲・対象で考えます。そのテーマを3年後期のプレゼミから少しづつ勉強し、自分のやりたいことを原則として自分で選び、探します。
・そのためにまず建築や住居や都市の現在の大きな流れを本を読むことやディスカッションなどで勉強します。また基本的な設計手法など(例えばアレキサンダーのパターンランゲージなど)も勉強します。
・同時に、より広い範囲で、将来の生活、将来の社会のありようはどうなるであろうかという視点からも勉強します。そのためには地球環境問題、超高齢社会の有様、情報化社会が何をもたらすかなどを考え、これからの我々の生活はどうなるか、都市はどうなるか、田園集落はどうなるかなどを検討した上で設計テーマを考えます。
・設計は夏休みの終わり頃からスケッチに入り中間発表に備えます。年内にスケッチ完成、図化に新年1月一杯を宛てるというのがおおよそのスケジュールになります。最近は殆どCADで仕上げています。
・設計が田園の場合には皆でフィールドを見に行き、現地で検討会を開きます。彦根の市街地の場合は、皆が現地を知っている場合が多いので本人以外は地図上で検討することが多くなります。

◆卒業論文とフィールドワークについて

・卒業設計ではなく、研究論文をしたいという人もいます。
・年によってはフィールドワークも行います。二期生の藤倉洋次郎君は湖西の饗庭をフィールドとして、古い集落の木津を中心とした田園集落の研究をし、その分析と景観研究・修景計画の提案を行いました。
・また昨年(2002年度)のゼミ生は『長浜市史』の第7巻、地域文化財編の仕事があったので、全員で長浜市北郷里地区の古い民家の現地調査を夏休みに行いました。その成果は市史本   文に掲載されています。

◆今年の土井ゼミ

今年のゼミの学生は6名です。全員卒業設計の予定です。今年の共通のテーマは「これからの生活での具体的な行動」を予想分析して、それにたいして設計をしていこうというものです。現在、超高齢・少子社会がもたらす単身世帯の増加や高齢者の増大、地球環境問題の深刻化、情報社会化や低成長経済の到来によって、住居をはじめとする建築や都市が大きく変わらねばならな  い状況に入っています。そのためには将来の生活を予測すると同時に、各年代層やライフスタイルによって、それぞれの日常生活での行動がどのようになるかを具体的に把握し、それを容れるための形を作っていくという作業が根本になければならないと考えるからです。
各学生はその中からテーマを探してしぼりこみ、それを追求していきます。その結果が下の表にあるテーマとなっています。

河合 美菜子 集落での暮らし −彦根市福光寺の過去・現在・未来−
設計
高橋 朋子 中心市街地における子どものためのオープンスペース
設計
谷口 友英 シングルマザーの自立を支援する協同住居の提案
設計
中川 由香 高齢者にとっての「住まうこと」
設計
麦林 敬子 二ケ所住居について
設計
森永 宏美 中心市街地における住宅地の提案 −社会的な接触を増大するために−
設計

今年の6名の学生の内、時間の都合のついた2名(中川由香、森永宏美)は3年から4年になる春休みに『長浜市史 第7巻 地域文化財編』のため、長浜市北郷里地区での集落のいくつかの場所の保存修景デザインを提案し、市史の本文中に採用され出版されています。

◆これまでのゼミ学生のテーマ

以下のリストは第一期生から現在までのゼミ卒業生のテーマです。その内容は約8割が卒業制作・設計となっています。何人かは卒業論文で卒業しています。

2002年度

稲垣幸枝 地域社会における子供の遊び場と母親の居場所の提案 
設計
神原幸子 人集まる −彦根における人の集まる居場所の提案− 
設計
木村真喜子 農村ビオトープを創る 
設計
高谷葉子 フレキシブル・オフィスの提案 
設計
出口恵美子 和の要素を採り入れた高齢者中心のコレクティブ住宅 
設計
松本幸恵 市街地における環境共生住宅の提案 −彦根の自然・まちと共生する− 
設計

2001年度

武笠絢子 個室化とプライバシーの観点から考えたこれからの日本の住宅 
論文
永野俊哉 銀座リノベーション −銀座商店街集合住宅計画/商店街をLDKとして使うための住宅− 
設計
山上幸子 居住地における希薄化するコミュニケーションに関する一考察 
論文

2000年度

大塚拓己 本町商店街への提案 −回遊性のある"みち"をめざして− 
設計
高須賀正和 学ぶ・遊ぶ・体感する −子どもの自立のための自然体験・共同生活体験の施設− 
設計
田中晋吾 自然の中での心身的な共生 −湖北セカンドハウスコミュニティ− 
設計
中井康晶 彦根魚屋町通りにおける歴史的町並みへの提案 
−町家型RC造3階建て住宅・町家型共同住宅及び通り屋外空間の設計− 
設計
野崎真佐人 立体街区 −地方都市におけるSI住宅− 
設計
萩下弥生 彦根城東小学校で交流しよう −子供と地域のつながりへの提案− 
設計

1999年度

藤倉洋次郎 近江の集落景観の構造分析及び修景計画 −新旭町木津を中心として−
論文

1998年度

池田綾子 現代の会所 −彦根市中心市街地における高齢者のための「遊び」空間− 
設計
今井妙子 居住地における景観の視覚的構造
−京都における伝統的市街地と郊外のニュータウンの事例を通して− 
論文
越田真由美 エコハウス −現在における要素と手法− 
論文
福西聡子 祇園祭・山鉾町 コミュニケーション・システム 
設計
山上典子 滋賀県立大学のPOE(Post Occupancy Evaluation)
−建築物の使用者による使用後評価−  
論文

 

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