自然の力を利用した鳥小屋の制作鶏の行動欲求を駆り立てるデザイン

福井翔也

せんだいデザインリーグ 卒業設計日本一決定戦 2014(best100選出)

 近年、日本における養鶏の形態は、卵の大量生産を目的としており、効率や利益を重視したケージ養鶏が主流となっている。そこでは鶏は外部から遮断され、空調管理された環境で養鶏されている。その一方、環境のコントロールなしの養鶏も多いが、それらは費用や効果の面であまり省みられていない。しかしこういった環境は鶏にとって決して良い環境とはいえない。欧米ではアニマルウェルフェアという動きから、鶏の飼育環境の改善が進み、養鶏のデザインについての実践が進んでいる。
 本研究・制作では鶏の生態・行動欲求を駆り立て、鶏が元気に動き回り健康でいられること、またそれを管理・飼育する人との関係のあるべき形としての鶏小屋を目指した。また経済的にかつ一人でも簡単に作れる構造、また建築面積が10㎡以下という確認申請が不必要な範囲で制作する制約を設け、研究・制作を行った。現在は実際に使用され、今後も経過を観察していきたい。