産業遺産としての既存プロパティーの再生活用計画近江八幡市瓦工場跡を事例として

中本 梨沙子

 私たちの周辺には、使用されていない建築物があり、放置されているという問題意識が高まっている。日本には、幕末から昭和初期にかけて、近代化に貢献した建築物があり、政府により近代化産業遺産と認定されているものがあ
る。しかし、地域には機能性を重視しただけの工場といった近代化産業遺産として認定されないものがあり、活用については各地域に委ねられている現状である。これらの建築物は地域を支えた産業として残すべきであると考える。

 本研究では、近江八幡市の五常工場跡を事例に、既存の建築物の実測、調査を行い制作へと進めた。地域を支えた産業遺産の記憶を残すため、既存部分を利用した設計を心がけること。市民が利用するととを前提に考え、再生活用を持続可能なものとすること。周辺の景観の整備を行うことを目的とし、産業遺産としての既存プロパティーの再生活用計画の提案を行う。