現代生活における箱膳のリデザインー1人暮らしの食事環境に注目してー

生田 圭

 一人での食事は気が向かず、疎かになりがちだ。特に一人暮らしをしている人ならば、自由であるがためにその他の作業を優先してしまい、生活の中で必要不可欠であるはずの食事を疎かにする傾向があるのは容易に想像がつく。そのような状況の中で、食事内容の乏しさを問題視する人は多いが、食事の環境を気にする人は少ない。買ってきたお惣菜のパックをそのまま使ったり、食器洗いの手間を省くことを優先してしまう。また、食卓は基本的に作業の机と同じであり、食事をする時でも、資料やパソコンなど食事に関係ないものが乗った状態であることが多い。今回はそのような食事環境を改善するための道具として、日本に古くから伝わる「箱膳」に注目した。本研究では、箱膳を現代の生活の中に復活させることで食事環境を改善するとともに、食器などの食事道具や、食事自体に興味を持ってもらうこと、また、一人暮らしの生活の中に潤いを与えることを目的とした。